ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「……本当のところは、なにがあったんですか? ふたりの間に」
「それは、ヒミツです」
困惑気味のマスターに、笑顔を返す。ガクくんは含み笑いをして、またカウンターの奥へと引っ込んでいった。
私の決断は、間違いなく非常識なものだと思う。
だけどもう、腹を括ってしまったから。一度決めてしまえば、あとは真っすぐ突き進むのみ。痛い目を見ようが泣きを見ようが、自己責任だもの。
「彩女さんって、やっぱり器が違いますね」
「そんなことはないですよ。たまに冒険をしたくなるだけです」
「冒険に飽きたら、言ってください。いつでも引き取りますから」
ふたりで笑っていると、ガクくんがまたフレンチトーストを手にして戻ってきた。どうやら、自分のぶんも作っていたみたい。
調子に乗らないようにと、マスターに何度も何度も釘を刺されていたけれど、ガクくんはもはや聞いていない様子。適当に返事をしながら、少し遅めの朝食を頬張っていた。
「なにかあれば、すぐに連絡くださいね」
念のためマスターと連絡先を交換して、荷物のすべてだというバックパックを背負ったガクくんと一緒に、マンションへと帰る。
軽い足取りで跳ねるように歩きながら、彼は満面の笑みで言った。
「僕、頑張ってご奉仕しますからね、ご主人さま」
……というわけで。
上條彩女、30歳。ちょっとワケありっぽい、年下ワンコを飼うことになりました。
「それは、ヒミツです」
困惑気味のマスターに、笑顔を返す。ガクくんは含み笑いをして、またカウンターの奥へと引っ込んでいった。
私の決断は、間違いなく非常識なものだと思う。
だけどもう、腹を括ってしまったから。一度決めてしまえば、あとは真っすぐ突き進むのみ。痛い目を見ようが泣きを見ようが、自己責任だもの。
「彩女さんって、やっぱり器が違いますね」
「そんなことはないですよ。たまに冒険をしたくなるだけです」
「冒険に飽きたら、言ってください。いつでも引き取りますから」
ふたりで笑っていると、ガクくんがまたフレンチトーストを手にして戻ってきた。どうやら、自分のぶんも作っていたみたい。
調子に乗らないようにと、マスターに何度も何度も釘を刺されていたけれど、ガクくんはもはや聞いていない様子。適当に返事をしながら、少し遅めの朝食を頬張っていた。
「なにかあれば、すぐに連絡くださいね」
念のためマスターと連絡先を交換して、荷物のすべてだというバックパックを背負ったガクくんと一緒に、マンションへと帰る。
軽い足取りで跳ねるように歩きながら、彼は満面の笑みで言った。
「僕、頑張ってご奉仕しますからね、ご主人さま」
……というわけで。
上條彩女、30歳。ちょっとワケありっぽい、年下ワンコを飼うことになりました。