ワケありニートな年下ワンコを飼いました
同居生活はギブ&テイク
「さーて。まずは、この段ボールの山をなんとかしましょうか」

 MISTEROから自宅へ帰宅すると、ガクくんが腕まくりをしながら言った。なんだか、とても張り切っている。

「なんとかって……ど、どこから手をつければ」
「もぉー、本当にポンコツさんだなぁ」

 ……さすがに言い返せないわ。半年も、この状態で生活していたわけだし。

 私がもごもごしていると、ガクくんは積み上げられた段ボールをじっくり眺めた。

「なにが入っているか、一応箱に書いてあるんですね」
「引っ越し業者さんが、全部してくれたから……」
「そうでしょうね。細かく書いてあるし」

 そうでしょうねって。ずいぶんハッキリと言うわね。
 ガクくんの中で、完全に私は「仕事以外はポンコツさん」と認識されたようだわ……。

「じゃ、キッチンからはじめましょう。これだと、ごはんが作れないし。僕が指示する通りに整理してくださいね」
「は、はいっ」

 それから、ガクくんのご指導のもとで、半年越しの荷解きを開始した。

「お仕事、そんなに忙しかったんですか? 半年も放置するなんて」
「前の家の退去が早まったのよ、大家さんの都合で。本当はプロジェクトが落ち着いてからの予定だったのに、娘夫婦が戻ってきて入居したいから、とか言われちゃって」

 とはいえ、仕事が忙しくないときに引っ越したとしても、片付けられる自信はないのだけれど。
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