前世生贄王女だったのに、今世ではとびきりの溺愛が待っていました ~片翼って生贄の隠語でしたよね?~

第2話 再会?

 溜め息を着く私に、彼らは面倒そうに答えた。

「召喚に巻き込まれたのは不運だったが、君のために魔法陣を展開する魔力の余力はない。今後の者振り方だが、この都市に留まるか出て行くかは選ばせよう」
「そうですか(やっぱり……こうなるのね)」
「ええ? 私も?」
「まさか、聖女様は、この国で私たちを救ってくださいませ!」

 美玲は悲壮感たっぷりの涙目で訴え、その反応にエルフたちは少しだけ頬が赤くなる。これだから男は……。美玲に魅了スキルでもあるのかしら? というか異世界の人族なのに魔力があるって、前世は別の種族だったのかしら? 

「よかったぁ♪ でも春夏秋冬(ひととせ)さん、……彼女がこの都市にいると、私をまた虐めるかもしれないから……この都市から追い出してほしいかも……」
「はい?(イジメって初耳なのですけれど? というか貴女と、会話したことほとんどないし)」

 美玲の言葉で空気が一気に凍り付いた。
 鳥肌が立つほどの寒さ。
 またか。異世界に転生してからはなかったけれど、この世界に戻った途端に悪役を押し付けられるなんて……。大して精査せずに、私を悪者にする展開に飽き飽きしてしまった。

 前世、嫁ぎ先の国で私の味方は誰も居なかった。
 理不尽だわ。勝手に連れてきて、巻き込んだくせに、全ては私が悪いというのだから。
 今世でも巻き込まれて……また死ぬのかな。

「兵士よ、その女をすぐに森の外に放り出してやれ」
「ハッ」

 甲冑姿の兵が私の腕を掴んだ。抵抗する気はないのに、罪人みたいじゃない。私が貴方たちに何をしたっていうの? そう思ったらムカムカしてきた。

「痛っ、抵抗しないから離して」
「黙れ、罪人が」
「……私が何の罪をしたっていうの? 証拠は? その女の言葉だけで貴方たちは信じるの?」
「当然だ、彼女は『聖女』なのだから」
「(ああ、本当に……なんでこんな世界に──)なら、この世界にある誓約書で真偽をつけましょう。嘘なら四大種族から報復がある真偽魔法ですよ」
「はああ? なによ、それ」
「なんで貴様がそんなことを」
「別に聖女じゃなくたって、加護(ギフト)はあるってことです(まあ前世の知識のおかげだから、ギフト関係ないけれど)」

 何も知らない少女ではないと彼らに印象づけたものの、最初から気に食わなかったのか無機質な瞳は変わらなかった。
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