運命の出会いは最悪でした

遊園地

「先週行けなかった買い物だけどさ」
話を切り出した桜
「遊園地にしない?」
遊園地?
遊園地なんて夏くんと行ったっきりだよ
あの時から、夏くんはモテていた

「告白されたー」
「またぁ?」
いつも告白されているので、告白と聞いたら、夏くんのことかな?ぐらいしか思っていなかった
何百回も聞かされた。
幼馴染の私としてはそんなの関係なかったけど夏くんから聞いた話ではいつも断っているそう
勿体無いなー
私に嘘ついてるだけであれこれ告白されてれば、一回は付き合っている子もいるんじゃないかな
「また告白されたよ…」
口癖のように言っている夏くん
「で?断っちゃったの?」
「うん」
まただ、365日告白されているようなものなのに…
一回も付き合ってないって…
「なんで、ずっと断ってるの?」
しばらくの沈黙
深刻な空気
やばい私、変なこと言ったかも…
「あっいや言いたくないなら別に…」
「俺、好きな人いるんだ」
え、
す、好きな人?
夏くんから「好きな人」というワードが出るとも思わず
びっくりしてしまった
誰だろう?
夏くんが好きななるほどの人なんだからさぞ綺麗で美人な人なんだろう。

あっいけない
「うん、遊園地にしよう」
遊園地、楽しみだな

桜とは、遊園地の前の駅で待ち合わせ
楽しみー
「行ってきまーす!」
「…おい」
「なに?」
早く行きたいんだけどー!
「どこ行く」
言わなきゃだめ?
「遊園地!
バイバイ」
少し怒った口調で言い、さっさと家を出て行った

「おはよう」
「おはよう!楽しみだね!」
桜も同じだったみたいで首を縦に振っていた
「どこ行く?」
そう言われるとなー
観覧車は最後でしょ?
ジェットコースターは…うん、まあまあ
「「メリーゴーランド!」」
「すご、揃った」
「メリーゴーランド行く?」
「うん」
そしてメリーゴーランドに乗った
それから、ジェットコースターやコーヒーカップ、空中ブランコに乗り
「チュロス食べない?」
丁度甘い物が食べたい気分
「うん!」
「どれにする?」
チュロスはチョコ、シナモン、ココア、きな粉の四種類だった
「私、チョコ!」
「私はシナモンにしよ!」
そしてチュロスを買った

「ん!美味しい」
「シナモンも美味しい!」
シナモン…
美味しそう…
「一口ちょーだい」
「いいよ!
私もチョコ食べてみたい」
シナモン美味しい
チョコを桜にあげようとした時
「待って梨央奈?」
えっ
呼ばれた?
「私?」
「なんか呼ばれてたね」
誰?
学校の子かな
「おーい、俺だよ!
覚えてない?」
な、夏くん⁈
なんでここに?
しかも玲央もいるし、翼くんや拓実くんもいる
私、今日玲央にここ来るって言ったはずなのにな
「お、覚えてるよ
夏くんでしょ」
「よかったー」
「梨央奈、なんで仲良いの?」
やばい、絶体絶命
「お友達?
俺と梨央奈は、幼馴染なんだ!」
「え、聞いてない」
「は?」
反応したのは、桜だけでなく、玲央も声を出してた
「なんで玲央が反応してんの?」
と、翼くん
「もしかして好きなの?」
と、桜
なんだか桜と翼くんは息が合うみたい…
って今、桜「好き」って言った?
玲央が私の事を?
な訳ないじゃん
「はっ?!ち、違うし…」
「珍しく、玲央が焦ってる!」
口を開いた拓実くん
「待って、やめて?」
と、夏くん
なんで夏くんがやめてなんて言ったんだろう?
「「うわー!」」
どこまでも翼くんと桜は息ぴったり
相性がいいんだろうな
「梨央奈、モテ期来たね!」
も、モテ期?
いや、誰かに好きって言われたわけじゃ無いのに…
「てかなんでここにいるんですか?」
「たまたま」
たまたまなのかな?
「ねえこうして会えたのもなんだか縁があるからみんなでお化け屋敷行かない?」
お、お化け屋敷?
私が一番嫌いなお化け屋敷
「いいね、」
「じゃあ行こー」
そして行くことになったお化け屋敷
桜に着いていけば怖くないよね
「三人ずつで別れて行こうよ」
桜と一緒がいいな
「グッパで決めよう!」
結果
梨央奈、拓実、夏輝チーム
桜、翼、玲央チーム
「最悪…」
独り言のような小声で言った
意外にも大きかったようで
「俺じゃだめ?」
「違うよ!
桜と一緒じゃなかったなーって」
言い訳のようなことを言った
「まっ、それは残念だね」
わかっててくれてるのかな?
ちょっと嬉しいな、
「じゃあ俺ら先に行ってくる」
…………、
怖い
少し震えてるのがわかる
夏くんいるし、1人じゃ無いから大丈夫だよね、、、、
震えてるのがわかったのか、拓実くんが手を繋いでくれた
「拓実くん?」
「あんた震えてたでしょ」
「ありがとう」
や、優しい
些細なことも気づいてくれる、玲央とは大違い
「あんた、名前は?」
「梨央奈です、一年生です!」
「梨央奈、か」
「ちょっとちょっとー!」
夏くん…どこまでも元気があるよね…
「はー!怖かった!」
桜の声が聞こえ、振り返るとさっきまでお化け屋敷の中にいた桜、玲央、翼チームが戻ってきた様子
次は私たちのチーム
「よっしゃ、行ってこよ!」
「おー」
手が震える、怖い…
「大丈夫?」
「うん、お願いがあるんだけど…」
「手、繋いでくれない?」
「………えっ」
ゆでだこみたいに顔を赤くした拓実
"ダメ"だったかな
「いいよ、はい」
差し出してくれた手
その手は、いつまでも温かくて、途中夏くんが何故か怒ってたけどなんとか最後まで乗り切ることができた
帰り、電車で玲央と一緒だったのは最悪だったけど
あはは……
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