Too late
振られちゃった……
気持ちさえ伝えれず、拒まれた。
シエン先輩が言ってたように私のことが刺さらない人はこっちがどれだけ努力しようとも落とせない。
先輩の達観した正論は頭では理解できる。だけど私って幼稚でわがままだから、その正論を受け入れたくない。
メンタルがズタボロの最大値を更新状態で帰路につく。
深夜に1人で帰る時はいつもタクシーに乗る。
今日はタクシーに乗っている間にも車内の静寂のせいで傷心中の胸の痛みがより響いて涙な頬を伝う。
外の空気を吸いたくなった私は家よりもだいぶ手前でタクシーから降りることにした。
運転手さんは私の顔をチラッと見て何かに気づいた様子だったが「お気をつけて」と言うだけだった。
こういう時って人が気をつかって何も言わないでいてくれると余計にグッとくる。
私の住むマンションは大通りから少し入った所に位置する大きな公園を抜けた先にある。深夜だが大通りにはぽつりぽつりと人気があり車もそれなりに通っている。
私を降ろして走って行くタクシーの後ろ姿を見て深いため息をついた。
5月末だというのに昼間は初夏の暑さでも真夜中は肌寒い。
サーっと吹く冷たい風にさらされて、好きな人に抱きしめられたときの熱もすっかり引いてしまった。
急いで帰る必要もない。ふらふらと気怠い足を引っ張って歩きながら、ジーンズのポケットに入れていた携帯を手にした。
カカオトークを開いてちょうどその時一番上にあったデヒョンとのトークルームを開けた。
友だちであり同僚でもあるデヒョンから、実は卒業式の数日後に告白されていた。
デヒョンとは時たま2人で遊ぶ仲でカラオケに行ったりゲームセンターに行ったり、気兼ねなく遊びに誘える間柄だった。
告白された日も2人で出掛けていて、その日はデヒョンが妙に静かで体調でも悪いのかと思ったら帰り際にひと言、好きだ、と。
ジウォンとチョルスには「デヒョンは弟みたいな子だよ」と言っていたけれど本当は彼からの好意には気づいていた。
ただ私は彼を男として見れなかったから、見て見ぬふりをした。
彼には、練習生だから邪魔をしたくないとの理由で断った。
本当は全然興味が無かっただけ、でも妥当な理由で振ったほうが友だちを失わずに済む。
こんな時のためにもああいう理由をつけといて良かった。
デヒョンに《会いたい》と送るとすぐさま既読がついて《俺も会いたい。どうしたの?》と返信がきて、ついでに電話がかかってきた。
電話をとる。彼は電話越しでも分かるくらい浮かれた調子の声色。
「嬉しいんだけど……なに急に、何かあったの?」
「ううん、ただ会いたくなっちゃったの。ごめんね、私の方からデヒョンは練習生だからって断ったのに」
「そんなことない。俺のためを思って断ったんだろうし……でも、今こうやって会いたいって言ってくれたのすごく嬉しいよ」
彼を振ってからは一度も会ってない。
変な期待を抱かせないためにも会うのは控えたが、同じ時期にリク先生がデヒョンを含めた練習生たちの担当に就任した結果、以前に増して共通の話題が増えて彼の相談相手も私しかいなかったため連絡だけはとり続けていた。
返信がくる速さや言葉の端々から、彼の気持ちが変わっていないことは明確だ。
「だけどさ……俺はまだユリのこと好き。だから友だちとしては見れないよ」
「私たち、もう友だちはやめよっか」
「えっ⁉︎ それって————」
別に、先生への仕返しのつもりなんかじゃない。
デヒョンのことは大事に思ってる。
でもほんの少し、先生がこのことを知ったらどうなるんだろうって、賭けに出たくなった。
気持ちさえ伝えれず、拒まれた。
シエン先輩が言ってたように私のことが刺さらない人はこっちがどれだけ努力しようとも落とせない。
先輩の達観した正論は頭では理解できる。だけど私って幼稚でわがままだから、その正論を受け入れたくない。
メンタルがズタボロの最大値を更新状態で帰路につく。
深夜に1人で帰る時はいつもタクシーに乗る。
今日はタクシーに乗っている間にも車内の静寂のせいで傷心中の胸の痛みがより響いて涙な頬を伝う。
外の空気を吸いたくなった私は家よりもだいぶ手前でタクシーから降りることにした。
運転手さんは私の顔をチラッと見て何かに気づいた様子だったが「お気をつけて」と言うだけだった。
こういう時って人が気をつかって何も言わないでいてくれると余計にグッとくる。
私の住むマンションは大通りから少し入った所に位置する大きな公園を抜けた先にある。深夜だが大通りにはぽつりぽつりと人気があり車もそれなりに通っている。
私を降ろして走って行くタクシーの後ろ姿を見て深いため息をついた。
5月末だというのに昼間は初夏の暑さでも真夜中は肌寒い。
サーっと吹く冷たい風にさらされて、好きな人に抱きしめられたときの熱もすっかり引いてしまった。
急いで帰る必要もない。ふらふらと気怠い足を引っ張って歩きながら、ジーンズのポケットに入れていた携帯を手にした。
カカオトークを開いてちょうどその時一番上にあったデヒョンとのトークルームを開けた。
友だちであり同僚でもあるデヒョンから、実は卒業式の数日後に告白されていた。
デヒョンとは時たま2人で遊ぶ仲でカラオケに行ったりゲームセンターに行ったり、気兼ねなく遊びに誘える間柄だった。
告白された日も2人で出掛けていて、その日はデヒョンが妙に静かで体調でも悪いのかと思ったら帰り際にひと言、好きだ、と。
ジウォンとチョルスには「デヒョンは弟みたいな子だよ」と言っていたけれど本当は彼からの好意には気づいていた。
ただ私は彼を男として見れなかったから、見て見ぬふりをした。
彼には、練習生だから邪魔をしたくないとの理由で断った。
本当は全然興味が無かっただけ、でも妥当な理由で振ったほうが友だちを失わずに済む。
こんな時のためにもああいう理由をつけといて良かった。
デヒョンに《会いたい》と送るとすぐさま既読がついて《俺も会いたい。どうしたの?》と返信がきて、ついでに電話がかかってきた。
電話をとる。彼は電話越しでも分かるくらい浮かれた調子の声色。
「嬉しいんだけど……なに急に、何かあったの?」
「ううん、ただ会いたくなっちゃったの。ごめんね、私の方からデヒョンは練習生だからって断ったのに」
「そんなことない。俺のためを思って断ったんだろうし……でも、今こうやって会いたいって言ってくれたのすごく嬉しいよ」
彼を振ってからは一度も会ってない。
変な期待を抱かせないためにも会うのは控えたが、同じ時期にリク先生がデヒョンを含めた練習生たちの担当に就任した結果、以前に増して共通の話題が増えて彼の相談相手も私しかいなかったため連絡だけはとり続けていた。
返信がくる速さや言葉の端々から、彼の気持ちが変わっていないことは明確だ。
「だけどさ……俺はまだユリのこと好き。だから友だちとしては見れないよ」
「私たち、もう友だちはやめよっか」
「えっ⁉︎ それって————」
別に、先生への仕返しのつもりなんかじゃない。
デヒョンのことは大事に思ってる。
でもほんの少し、先生がこのことを知ったらどうなるんだろうって、賭けに出たくなった。