Too late
8月。ジリジリと太陽が肌を焦がすこの時期、夏だからこその野外ライブスケジュールが多い。
暑さで体力は日々消耗し続けてギリギリを保っている。
アパレルメーカーの広告塔のお仕事ではこの時期に秋冬シーズンの撮影だ。
熱波とコンクリートの照り返しに耐えながらダウンやコートを着て涼しい顔を作る。
髪型は事務所指定のロングで、おろしているヘアスタイルのことが多いから余計に暑くて倒れそう。
最近体調が優れない日が多い。
6月あたりから薄々気づいていたけど今年の夏、いつもよりきつい。
この1年で体が衰えたのか、10代と20代ってこんなにも違うのかと焦りと不安を抱えて8月を迎えた。
去年までの夏との違いを考えると1年前は、まだ幼馴染のシウが韓国にいた。
私は彼に家の電子錠の暗証番号を教えていたし自由に出入りさせていて、大学生の彼は結構暇そうで大学に行く以外の時間をほぼ私の家で過ごしていた。
ひとり暮らしを始めたての頃に付き合いはじめて、その時から料理作ったり洗濯したり掃除までしてくれる。別れたあとも変わらなかった。
私が頼んだわけではなく彼が勝手に私の面倒を見る。
もちろん私のママもシウのお母さんもこの事は知らない。
シウのお母さんも「うちの子、彼女が居るみたいで夜遅くにしか家に帰ってこないの」と私に嘆いていたぐらいだし私とシウが思ったよりも深い仲なことは想像さえしていないだろう。
彼と私の生活はこうだった。
仕事から帰ってきたらシウがご飯を作ってくれていて、お腹いっぱいになったあとはソファーに寝転んで携帯いじる。
気づいたら2時間ほど経っていて、彼から「ほらー、早くシャワー浴びな〜」と言われ「やだ。疲れた。寝る」と駄々を捏ねる。
体の大きな彼に無理矢理起こされて、風呂場まで強制連行されたらしぶしぶシャワーを浴びて、体がすっきりしてきた頃には(もう少し早く動けばよかった)と無駄に携帯をスクロールしていたロスタイムを惜しみ、彼に「もっと早くシャワー浴びさせてよ」と愚痴をこぼす。
彼は怠惰でわがままな私を、しょうがないなぁって顔をしながらも甘やかしてくれていた。
彼がいなくなってから自炊はせず自由な食生活を送っていたから前と違って夏バテしたのかも。
シウにたくさん助けられていたんだな……
私がシウの立場なら絶対にこんな女を世話したくないのに、シウってつくづく変な人。
どんな時も1番近くにいた彼が、今年の私の誕生日には不在だ。
8歳の誕生日を祝ってくれた年から12年間、彼だけは必ず横にいた。
今年は初めて幼馴染以外と過ごす。
私は誕生日や記念日にこだわりがなくて、特に盛大に祝ってほしいわけでもないから普段と変わらない日常でいい。
先生のことは吹っ切れていないけど、デヒョンと別れるつもりはない。
だけどまだ、彼に体を許したくはない……
わがままなのは自分でも理解している。
20歳の誕生日をあと数分で迎える。
彼から30分前に電話がかかってきて普段と変わらない会話をしながらも時計が23時55分になるまで話し続けてたからこのまま誕生日を迎える瞬間を祝ってくれるのかと思えば、56分になった途端「ごめん、忙しい、切るね」と唐突に電話を切られた。
彼から誕生日に何が欲しいかと尋ねられた。
まだ練習生の彼には何かねだるのも気が引けて、一緒に過ごせるならそれでいいと伝えた。
明日は初めて彼を家に招く予定だ。
デートはもっぱら外で尚且つ人が多くない場所だったしお店に入っても個室を選んでいたから、完全な2人きりは初めてではないものの少し緊張する。
彼とは手を繋いだりハグしたり軽いボディータッチはしているが、彼は控えめで受け身な性格だからか私に触れるのもすごく気を遣った様子でひっそりと近寄ってまるで陶器を扱うかのように慎重に触れる。
とはいえ彼も同い年の男の子。
私を大事にしようと一生懸命だけど本能的に私の体を辿る視線が彼の欲を隠しきれていない。
私の知る限り彼は私が初めての彼女。
彼から以前「ユリは前にも彼氏居たんでしょ?」と聞かれた。
「1度もいない」と答えたら本当に嬉しそうな顔をした。
ぶっちゃけ3ヶ月くらいじゃノーカウントだと思う。
私の中でシウは元彼っていうよりもただの——
暑さで体力は日々消耗し続けてギリギリを保っている。
アパレルメーカーの広告塔のお仕事ではこの時期に秋冬シーズンの撮影だ。
熱波とコンクリートの照り返しに耐えながらダウンやコートを着て涼しい顔を作る。
髪型は事務所指定のロングで、おろしているヘアスタイルのことが多いから余計に暑くて倒れそう。
最近体調が優れない日が多い。
6月あたりから薄々気づいていたけど今年の夏、いつもよりきつい。
この1年で体が衰えたのか、10代と20代ってこんなにも違うのかと焦りと不安を抱えて8月を迎えた。
去年までの夏との違いを考えると1年前は、まだ幼馴染のシウが韓国にいた。
私は彼に家の電子錠の暗証番号を教えていたし自由に出入りさせていて、大学生の彼は結構暇そうで大学に行く以外の時間をほぼ私の家で過ごしていた。
ひとり暮らしを始めたての頃に付き合いはじめて、その時から料理作ったり洗濯したり掃除までしてくれる。別れたあとも変わらなかった。
私が頼んだわけではなく彼が勝手に私の面倒を見る。
もちろん私のママもシウのお母さんもこの事は知らない。
シウのお母さんも「うちの子、彼女が居るみたいで夜遅くにしか家に帰ってこないの」と私に嘆いていたぐらいだし私とシウが思ったよりも深い仲なことは想像さえしていないだろう。
彼と私の生活はこうだった。
仕事から帰ってきたらシウがご飯を作ってくれていて、お腹いっぱいになったあとはソファーに寝転んで携帯いじる。
気づいたら2時間ほど経っていて、彼から「ほらー、早くシャワー浴びな〜」と言われ「やだ。疲れた。寝る」と駄々を捏ねる。
体の大きな彼に無理矢理起こされて、風呂場まで強制連行されたらしぶしぶシャワーを浴びて、体がすっきりしてきた頃には(もう少し早く動けばよかった)と無駄に携帯をスクロールしていたロスタイムを惜しみ、彼に「もっと早くシャワー浴びさせてよ」と愚痴をこぼす。
彼は怠惰でわがままな私を、しょうがないなぁって顔をしながらも甘やかしてくれていた。
彼がいなくなってから自炊はせず自由な食生活を送っていたから前と違って夏バテしたのかも。
シウにたくさん助けられていたんだな……
私がシウの立場なら絶対にこんな女を世話したくないのに、シウってつくづく変な人。
どんな時も1番近くにいた彼が、今年の私の誕生日には不在だ。
8歳の誕生日を祝ってくれた年から12年間、彼だけは必ず横にいた。
今年は初めて幼馴染以外と過ごす。
私は誕生日や記念日にこだわりがなくて、特に盛大に祝ってほしいわけでもないから普段と変わらない日常でいい。
先生のことは吹っ切れていないけど、デヒョンと別れるつもりはない。
だけどまだ、彼に体を許したくはない……
わがままなのは自分でも理解している。
20歳の誕生日をあと数分で迎える。
彼から30分前に電話がかかってきて普段と変わらない会話をしながらも時計が23時55分になるまで話し続けてたからこのまま誕生日を迎える瞬間を祝ってくれるのかと思えば、56分になった途端「ごめん、忙しい、切るね」と唐突に電話を切られた。
彼から誕生日に何が欲しいかと尋ねられた。
まだ練習生の彼には何かねだるのも気が引けて、一緒に過ごせるならそれでいいと伝えた。
明日は初めて彼を家に招く予定だ。
デートはもっぱら外で尚且つ人が多くない場所だったしお店に入っても個室を選んでいたから、完全な2人きりは初めてではないものの少し緊張する。
彼とは手を繋いだりハグしたり軽いボディータッチはしているが、彼は控えめで受け身な性格だからか私に触れるのもすごく気を遣った様子でひっそりと近寄ってまるで陶器を扱うかのように慎重に触れる。
とはいえ彼も同い年の男の子。
私を大事にしようと一生懸命だけど本能的に私の体を辿る視線が彼の欲を隠しきれていない。
私の知る限り彼は私が初めての彼女。
彼から以前「ユリは前にも彼氏居たんでしょ?」と聞かれた。
「1度もいない」と答えたら本当に嬉しそうな顔をした。
ぶっちゃけ3ヶ月くらいじゃノーカウントだと思う。
私の中でシウは元彼っていうよりもただの——