Too late
昨晩、デヒョンが帰ったあともずっとカカオトークのやり取りが続いて寝るのが随分と遅くなった。
私の心もデヒョンに揺らぎはじめて、彼の顔が頭に思い浮かぶと以前とは違う気持ちだ。
彼は昨日レッスンが終わったのが23時でうちに来るまで相当バタバタしたらしく、せっかく綺麗な花束を持っていったのにダサい格好で行っちゃった、と悔やんでいた。
でも私に花束を渡してくれた時の彼は出逢ってから今までで1番かっこよかった。
意識してなかった相手が急に輝いて見えて、漫画のようなトキメキを感じた。
私と彼はすごくピュアな恋愛をしている。
誰かからするとつまらなくて刺激がないだろう。
私も同じように思っていた。
だけど今では彼と慎重に関係を進めることを存分にたのしみたい。私にだけはいろんな顔を見せて欲しい。
今日は夕方まで仕事があった。
マネージャーやスタッフに浮ついてるのがバレないようにと平静を装っていたつもりだけど、マネージャーに「なんだか楽しそうね。誕生日だから?」と言われ冷や汗をかいた。
デヒョンとは衝動的に付き合うことに決めたけど彼の場合はもし交際が事務所に知られたらデビューが危ういからお互いに注意を払っている。
仕事から帰ってシャワーを浴びてお家デートの準備を始める。
1年前までは他の人と半同棲状態だったけど相手が相手だったし好きな人とお家で過ごすという感覚ではなかった。
家で彼氏を待つのがこんなにソワソワするのだと自分の知らない一面に少し笑っちゃう。
ほのかにフローラルな香り漂うボディークリームを塗って、ちょっとでも浮腫みがとれるよう一生懸命脚のマッサージをする。
ナチュラルメイクを施し、髪もストレートアイロンでサラサラに仕上げた。
鏡に映った私はまさしく恋する乙女の顔。
幼馴染のあの人と一緒に居た頃、私は自分の不純さが嫌でたまらなかった。
だけど今の彼のおかげで、私もちゃんと乙女な部分を持っていたのだと気づかされた。
デヒョンはすごく分かりやすい人だ。
彼にどういう表情や言葉が刺さるのか容易に想像できるし実際に思った通りの反応をしてくれる。
簡単に喜んでくれるのはおもしろくないと感じていた。
それが今では彼の反応ひとつひとつが気になるし愛しく感じる。
2人、はじめての夜に期待が膨らんだ。
*
午後9時半を回り、彼から今から向かうと連絡がきた。
適当にチャンネルをつけて流しているテレビには全く集中できず部屋をうろちょろして掃除した箇所をまた掃除したり意味もなく動いて気を紛らわす。
彼がうちに到着した。
最後に玄関の全身鏡で自分の姿をチェックしてドアを開ける。扉の向こうには約1日前に「おめでとう」をわざわざ言いにきてくれた彼が昨日よりかっこよくなって待ち構えていた。
ずっと茶髪だったのに、黒髪だ。
彼は純韓国人だが顔立ちは中華系で目が大きくてハーフに見える。
何色の髪でも似合いそうだけど、私は生粋の黒髪好き。
彼が玄関に入るなり身を寄せて彼を見上げた。
「どうしたの!? かっこよすぎる」
彼は私から顔を背けて恥ずかしがっている。
「今日、今度のライブのときに出す宣材写真の撮影だったんだ。朝染めてきた」
私とのカトクで今日も朝から一日レッスンだと言ってたのに、なんとも嬉しいサプライズ。
毎年、夏にYUエンタのアーティスト総出でコンサートが開催されて韓国だけではなく日本や中国などKpop人気が根づいているアジア諸国の複数都市での公演もある。
再来週その公演があり、練習生でデビュー予定の子達だけのステージがある。
事務所から黒髪に指定されたのだろう。ナイス、事務所の人。
デヒョンは練習生のなかでも知名度がありデビュー予定グループではセンターだから目立たせるためなのか明るい髪色ばかりだった。
先輩たちのミュージックビデオに出演経験もあるがその時もネットで「あの金髪のイケメンは誰だ」と話題になっていた。
アーティストのMVで先に注目を集めておくとデビューするに当たって見てくれる人の数が段違いに増えると思う。
そういう理由で事務所のホープとして他の練習生よりメディアに出ることが多い彼は決まって茶髪か金髪にされていたため、このタイミングで黒髪になったのはなんだか不思議だ。
私の心もデヒョンに揺らぎはじめて、彼の顔が頭に思い浮かぶと以前とは違う気持ちだ。
彼は昨日レッスンが終わったのが23時でうちに来るまで相当バタバタしたらしく、せっかく綺麗な花束を持っていったのにダサい格好で行っちゃった、と悔やんでいた。
でも私に花束を渡してくれた時の彼は出逢ってから今までで1番かっこよかった。
意識してなかった相手が急に輝いて見えて、漫画のようなトキメキを感じた。
私と彼はすごくピュアな恋愛をしている。
誰かからするとつまらなくて刺激がないだろう。
私も同じように思っていた。
だけど今では彼と慎重に関係を進めることを存分にたのしみたい。私にだけはいろんな顔を見せて欲しい。
今日は夕方まで仕事があった。
マネージャーやスタッフに浮ついてるのがバレないようにと平静を装っていたつもりだけど、マネージャーに「なんだか楽しそうね。誕生日だから?」と言われ冷や汗をかいた。
デヒョンとは衝動的に付き合うことに決めたけど彼の場合はもし交際が事務所に知られたらデビューが危ういからお互いに注意を払っている。
仕事から帰ってシャワーを浴びてお家デートの準備を始める。
1年前までは他の人と半同棲状態だったけど相手が相手だったし好きな人とお家で過ごすという感覚ではなかった。
家で彼氏を待つのがこんなにソワソワするのだと自分の知らない一面に少し笑っちゃう。
ほのかにフローラルな香り漂うボディークリームを塗って、ちょっとでも浮腫みがとれるよう一生懸命脚のマッサージをする。
ナチュラルメイクを施し、髪もストレートアイロンでサラサラに仕上げた。
鏡に映った私はまさしく恋する乙女の顔。
幼馴染のあの人と一緒に居た頃、私は自分の不純さが嫌でたまらなかった。
だけど今の彼のおかげで、私もちゃんと乙女な部分を持っていたのだと気づかされた。
デヒョンはすごく分かりやすい人だ。
彼にどういう表情や言葉が刺さるのか容易に想像できるし実際に思った通りの反応をしてくれる。
簡単に喜んでくれるのはおもしろくないと感じていた。
それが今では彼の反応ひとつひとつが気になるし愛しく感じる。
2人、はじめての夜に期待が膨らんだ。
*
午後9時半を回り、彼から今から向かうと連絡がきた。
適当にチャンネルをつけて流しているテレビには全く集中できず部屋をうろちょろして掃除した箇所をまた掃除したり意味もなく動いて気を紛らわす。
彼がうちに到着した。
最後に玄関の全身鏡で自分の姿をチェックしてドアを開ける。扉の向こうには約1日前に「おめでとう」をわざわざ言いにきてくれた彼が昨日よりかっこよくなって待ち構えていた。
ずっと茶髪だったのに、黒髪だ。
彼は純韓国人だが顔立ちは中華系で目が大きくてハーフに見える。
何色の髪でも似合いそうだけど、私は生粋の黒髪好き。
彼が玄関に入るなり身を寄せて彼を見上げた。
「どうしたの!? かっこよすぎる」
彼は私から顔を背けて恥ずかしがっている。
「今日、今度のライブのときに出す宣材写真の撮影だったんだ。朝染めてきた」
私とのカトクで今日も朝から一日レッスンだと言ってたのに、なんとも嬉しいサプライズ。
毎年、夏にYUエンタのアーティスト総出でコンサートが開催されて韓国だけではなく日本や中国などKpop人気が根づいているアジア諸国の複数都市での公演もある。
再来週その公演があり、練習生でデビュー予定の子達だけのステージがある。
事務所から黒髪に指定されたのだろう。ナイス、事務所の人。
デヒョンは練習生のなかでも知名度がありデビュー予定グループではセンターだから目立たせるためなのか明るい髪色ばかりだった。
先輩たちのミュージックビデオに出演経験もあるがその時もネットで「あの金髪のイケメンは誰だ」と話題になっていた。
アーティストのMVで先に注目を集めておくとデビューするに当たって見てくれる人の数が段違いに増えると思う。
そういう理由で事務所のホープとして他の練習生よりメディアに出ることが多い彼は決まって茶髪か金髪にされていたため、このタイミングで黒髪になったのはなんだか不思議だ。