Too late
「今化粧したてでいちばん可愛いから撮ろう!」
彼を布団から引っ張り出して洗面所につれていく。
「なんで洗面所?」
「家の中でここの照明が写りがいいの」
へえ、と気のない返事をした彼は私の隣ではなく斜めうしろに立つ。
アイドル生命を賭けた渾身のかわいい顔をして写ったつもりなのにカメラロールを開いて確認すると隣のデヒョンが可愛くて私は彼より大人びてみえる。
自分でも可愛い系ではなく綺麗系な自覚はある。それでも彼氏の方がかわいいだなんて納得がいかない。
「デヒョンがちょっと後ろにいるから私の顔大きくみえるの」
愚痴を垂れて注文する私に彼は何も言わず付き合った。
どうしても私の方が年上に見えるけどようやく期待通りのツーショットが撮れた。
「よくない?これ」
首をかしげて、私のお気に入りはあんまり刺さらないらしくカメラロールを遡る。
彼が「お、これいいじゃん」と見せたのは2人がカメラじゃなくてお互いの顔を見ている写真。
写りは別だが写真としてはとても良い。
こういうのスクリーン背景にしたいよね~と呟く彼に私も共感。
空港や移動のときにファンが撮った動画や写真に意図せず携帯の画面が映り込んでそれが拡大、拡散されてインストールしているアプリまでバレることがある。
自分の携帯なのに自分の好きにできないって、変な話だ。
「もうセルカはいいからさ......」
一線を越えてから、隙あらば私にくっついてくるようになった彼。
すぐにそういう雰囲気になってしまう。
「またするの?」
「嫌?嫌なら我慢する」
「......嫌じゃない......けど」
今にもはじまりそうで目を閉じた瞬間、洗面台に着信音が鳴り響く。
音に驚いて、顔すれすれの近距離から咄嗟に離れた。
「出ていいよ」
画面に大きく表示されたのは幼馴染みの名前だった。
シウからの電話、デヒョンの前でとれるわけない。
デヒョンにはもちろん過去の恋愛話なんて全く言ってなかったし幼馴染みの存在すら話したことないけれど、彼も私の戸惑った顔を見てただの友達じゃないことを察する。
手に持ったまま、彼にかける言葉を考えているうちに電話が鳴り止んだ。
「誰?」
「……幼馴染み」
「幼馴染み? ただの幼馴染み?」
「うん……もう1年以上会ってないけど」
「もしかして元彼?」
「えっ……?」
私はてっきり、デヒョンはこの恋愛が私にとって初めてだと思っているという認識だった。
彼の口から平然と“元彼“が出てきて拍子抜け。
「俺が最初だなんて思ってないよ」
目の前にいるのに伏し目がちで目を会わせてくれない。
口調はいつも通りに優しくても心のうちはそうじゃないことを表情が物語っている。
「もう何年も芸能界にいて、いろんな人から声かけられてきただろうし......」
そうは言いつつも沈んでいて、
「でも、したのはデヒョンが初めてだよ」
嘘をついた。
「本当?」
だけどこの1年間誰とも何もなかったしほとんど初体験みたいなものだよね、と自分に言い聞かせる。
「本当だよ。本当に大好きな人ができるまでとってたの」
「よかった......」
軽いため息をつき、洗面台にもたれかかった彼に腰を抱き寄せられる。
「でもその元彼は何の用で連絡してきたの?」
「誕生日だからだと思う」
「なにそれ......やだ、その人まだ好きじゃん」
眉を下げて不安満載の瞳で私を見つめる。
「私はどうも思ってないから安心して?」
チュッと口づけて上目遣いでじーっと見つめ返したら次第に彼の表情が明るくなった。
彼の胸板を触っていた手をゆっくりと下へ滑らせる。
「......しよっか」
彼を布団から引っ張り出して洗面所につれていく。
「なんで洗面所?」
「家の中でここの照明が写りがいいの」
へえ、と気のない返事をした彼は私の隣ではなく斜めうしろに立つ。
アイドル生命を賭けた渾身のかわいい顔をして写ったつもりなのにカメラロールを開いて確認すると隣のデヒョンが可愛くて私は彼より大人びてみえる。
自分でも可愛い系ではなく綺麗系な自覚はある。それでも彼氏の方がかわいいだなんて納得がいかない。
「デヒョンがちょっと後ろにいるから私の顔大きくみえるの」
愚痴を垂れて注文する私に彼は何も言わず付き合った。
どうしても私の方が年上に見えるけどようやく期待通りのツーショットが撮れた。
「よくない?これ」
首をかしげて、私のお気に入りはあんまり刺さらないらしくカメラロールを遡る。
彼が「お、これいいじゃん」と見せたのは2人がカメラじゃなくてお互いの顔を見ている写真。
写りは別だが写真としてはとても良い。
こういうのスクリーン背景にしたいよね~と呟く彼に私も共感。
空港や移動のときにファンが撮った動画や写真に意図せず携帯の画面が映り込んでそれが拡大、拡散されてインストールしているアプリまでバレることがある。
自分の携帯なのに自分の好きにできないって、変な話だ。
「もうセルカはいいからさ......」
一線を越えてから、隙あらば私にくっついてくるようになった彼。
すぐにそういう雰囲気になってしまう。
「またするの?」
「嫌?嫌なら我慢する」
「......嫌じゃない......けど」
今にもはじまりそうで目を閉じた瞬間、洗面台に着信音が鳴り響く。
音に驚いて、顔すれすれの近距離から咄嗟に離れた。
「出ていいよ」
画面に大きく表示されたのは幼馴染みの名前だった。
シウからの電話、デヒョンの前でとれるわけない。
デヒョンにはもちろん過去の恋愛話なんて全く言ってなかったし幼馴染みの存在すら話したことないけれど、彼も私の戸惑った顔を見てただの友達じゃないことを察する。
手に持ったまま、彼にかける言葉を考えているうちに電話が鳴り止んだ。
「誰?」
「……幼馴染み」
「幼馴染み? ただの幼馴染み?」
「うん……もう1年以上会ってないけど」
「もしかして元彼?」
「えっ……?」
私はてっきり、デヒョンはこの恋愛が私にとって初めてだと思っているという認識だった。
彼の口から平然と“元彼“が出てきて拍子抜け。
「俺が最初だなんて思ってないよ」
目の前にいるのに伏し目がちで目を会わせてくれない。
口調はいつも通りに優しくても心のうちはそうじゃないことを表情が物語っている。
「もう何年も芸能界にいて、いろんな人から声かけられてきただろうし......」
そうは言いつつも沈んでいて、
「でも、したのはデヒョンが初めてだよ」
嘘をついた。
「本当?」
だけどこの1年間誰とも何もなかったしほとんど初体験みたいなものだよね、と自分に言い聞かせる。
「本当だよ。本当に大好きな人ができるまでとってたの」
「よかった......」
軽いため息をつき、洗面台にもたれかかった彼に腰を抱き寄せられる。
「でもその元彼は何の用で連絡してきたの?」
「誕生日だからだと思う」
「なにそれ......やだ、その人まだ好きじゃん」
眉を下げて不安満載の瞳で私を見つめる。
「私はどうも思ってないから安心して?」
チュッと口づけて上目遣いでじーっと見つめ返したら次第に彼の表情が明るくなった。
彼の胸板を触っていた手をゆっくりと下へ滑らせる。
「......しよっか」