Too late
「そういやさっきデヒョンも見かけたぞ」
デヒョン、高校の卒業式の日でさえもそのままここへ練習に来るなんて真面目だ。
練習生のデヒョンのことを大先輩である彼らまでもが知っているのは何故かというと、デヒョンが次期ボーイズグループのエースだから。
複数の事務所からスカウトを受けたともいわれているそのビジュアルはうちの事務所お墨付きで、かなりの有名人だ。
入所してから歌やダンスを始めたが彼はダンスの才能まで神様から準備してもらっていたらしい。
デビュー組といえども何度も調整を重ねてデビュー直前で突如メンバーから外されることもある厳しい世界。
デヒョンに限ってはそんな心配もなく明るい未来が保証されている。
今日も卒業式に駆けつけたデヒョンのファンが何人もいたっけ。
それで、わざわざデヒョンのことを私に伝えてきた訳とは、一部の人がデヒョンと私が恋仲だと勘違いしているから。
私が練習生5年目のときにデヒョンは入ってきて、彼の人見知りがひどくしばらくは黙りこくっていてよくわからない人だった。
私がデビューする直前に、彼と私の進学先が一緒だとわかり私が無理矢理に彼の心の扉をこじ開けた。
案外人懐っこい子で、私とは仲良くしてくれた。
なついてる人がそばに居ないときは不安そうな顔しているため、事務所全体のライブイベントで会ったときも私の方から声をかけたら安堵に満ちた顔をしていてなんともかわいいヤツだ。
仲が良いことに間違いはないが決して怪しまれる関係ではない。
先輩の発言にすかさず他の人が、
「いや、ユリはねぇ?ヒョン待ってんだよね、ふっ」
嫌な含み笑いを浮かべる。
私は「は?」なんて素知らぬ顔で問いかけながらも勘付いている。
今も数名が完全にニヤついた。
だがしかし、私を後ろから怖い顔して見守っているマネージャーがいるからこういうのは困る。
私は事務所からの言いつけで恋愛禁止だ。
YU事務所主催のコンサートを含め他事務所のアイドルたちとも居合わせるような音楽祭や授賞式のときは特に注意深く私を監視する。
同じ事務所の先輩たちは皆それを知っている。察してもいるのだろうけど男性グループの人には“手を出すな“とでも忠告しているはずだ。
恋愛を禁止されている理由は、ソロアイドルって良くも悪くも私の評判が活動成績に直結するからだ。
グループアイドルだと1人が熱愛報道が流れたとて活動はチームプレイ。その分責任は感じそうだけど、私の場合は私の評判が落ちたらそれだけで成績はガタ落ちするはずだ。
「え、リク? リク待ってんの?」
マネージャーはコホンと大きな咳払いをひとつ。
「ちょっと厳しすぎないか?」
「そろそろ好きな人ぐらいいたって良いんじゃないかなぁ。もう大人なんだし」
「それにデビューしてもう4年目でしょ?」
高校を卒業したら、想いを寄せているあの人に気持ちを伝えるつもりだった。でもそれも今では叶わない。事務所にこんだけ圧力をかけられてたらできるはずもない。
握りしめた携帯にピコンと通知が来て
《卒業おめでとう》
好きな人からのメッセージだった。
期待してなかったからこれだけのことで、誰からの“おめでとう“よりも嬉しい。
数ヶ月前にいざこざがあってから線引きされてる気がしてたけど、彼の中では私の存在って良くも悪くも全く変わらないんだ。
少しくらい、意識してくれたっていいのに。
最年長のヒチョル先輩が「高校卒業したんだいし、マネージャーにバレない方法教えてあげるよ」って耳打ちした。
本当にあるのかな?
私が恋をする方法——
デヒョン、高校の卒業式の日でさえもそのままここへ練習に来るなんて真面目だ。
練習生のデヒョンのことを大先輩である彼らまでもが知っているのは何故かというと、デヒョンが次期ボーイズグループのエースだから。
複数の事務所からスカウトを受けたともいわれているそのビジュアルはうちの事務所お墨付きで、かなりの有名人だ。
入所してから歌やダンスを始めたが彼はダンスの才能まで神様から準備してもらっていたらしい。
デビュー組といえども何度も調整を重ねてデビュー直前で突如メンバーから外されることもある厳しい世界。
デヒョンに限ってはそんな心配もなく明るい未来が保証されている。
今日も卒業式に駆けつけたデヒョンのファンが何人もいたっけ。
それで、わざわざデヒョンのことを私に伝えてきた訳とは、一部の人がデヒョンと私が恋仲だと勘違いしているから。
私が練習生5年目のときにデヒョンは入ってきて、彼の人見知りがひどくしばらくは黙りこくっていてよくわからない人だった。
私がデビューする直前に、彼と私の進学先が一緒だとわかり私が無理矢理に彼の心の扉をこじ開けた。
案外人懐っこい子で、私とは仲良くしてくれた。
なついてる人がそばに居ないときは不安そうな顔しているため、事務所全体のライブイベントで会ったときも私の方から声をかけたら安堵に満ちた顔をしていてなんともかわいいヤツだ。
仲が良いことに間違いはないが決して怪しまれる関係ではない。
先輩の発言にすかさず他の人が、
「いや、ユリはねぇ?ヒョン待ってんだよね、ふっ」
嫌な含み笑いを浮かべる。
私は「は?」なんて素知らぬ顔で問いかけながらも勘付いている。
今も数名が完全にニヤついた。
だがしかし、私を後ろから怖い顔して見守っているマネージャーがいるからこういうのは困る。
私は事務所からの言いつけで恋愛禁止だ。
YU事務所主催のコンサートを含め他事務所のアイドルたちとも居合わせるような音楽祭や授賞式のときは特に注意深く私を監視する。
同じ事務所の先輩たちは皆それを知っている。察してもいるのだろうけど男性グループの人には“手を出すな“とでも忠告しているはずだ。
恋愛を禁止されている理由は、ソロアイドルって良くも悪くも私の評判が活動成績に直結するからだ。
グループアイドルだと1人が熱愛報道が流れたとて活動はチームプレイ。その分責任は感じそうだけど、私の場合は私の評判が落ちたらそれだけで成績はガタ落ちするはずだ。
「え、リク? リク待ってんの?」
マネージャーはコホンと大きな咳払いをひとつ。
「ちょっと厳しすぎないか?」
「そろそろ好きな人ぐらいいたって良いんじゃないかなぁ。もう大人なんだし」
「それにデビューしてもう4年目でしょ?」
高校を卒業したら、想いを寄せているあの人に気持ちを伝えるつもりだった。でもそれも今では叶わない。事務所にこんだけ圧力をかけられてたらできるはずもない。
握りしめた携帯にピコンと通知が来て
《卒業おめでとう》
好きな人からのメッセージだった。
期待してなかったからこれだけのことで、誰からの“おめでとう“よりも嬉しい。
数ヶ月前にいざこざがあってから線引きされてる気がしてたけど、彼の中では私の存在って良くも悪くも全く変わらないんだ。
少しくらい、意識してくれたっていいのに。
最年長のヒチョル先輩が「高校卒業したんだいし、マネージャーにバレない方法教えてあげるよ」って耳打ちした。
本当にあるのかな?
私が恋をする方法——