Too late
開演から2時間、自分のステージは終えて後輩とのコラボステージまで暇だ。
メイク直しや衣装チェンジも済ませ、待機室で誰かと話すともなくポツンと1人。
スタッフや現場マネージャーがいそいそと出入りして、放置されているが居心地が良い。
1人でいる方が気楽だから。たまに寂しくてグループの人たちが羨ましくなるときもあるが、先のコラボステージにエネルギーを使うから今はボーッとしていたい。
スタッフはアーティストよりも忙しそう。こんな日ばかりは演者より裏方の給与を上げたらいいのに。
待機室の大きな白いテーブルに突っ伏したまま、ひたすら携帯をいじる。
シウが私の暇潰し相手になってくれている。
電話で話したあの日から始まり途切れることなく続いているチャット。
シウは私のどんな話も聞いてくれる。
彼氏と違って気を遣う必要も、かわいらしさを演じる必要もない。私の仕事に関する不安や愚痴も、一般人の彼には遠慮なく言える。
彼には一生縁のないうちの会社のことを、少々悪く言っても笑って受け止めてくれる。口が悪くなっちゃっても「こら~」と優しくいうだけ。
反対に、彼氏には自分の弱音は言えない。完全に私が聞き役、彼をなだめる立場で、彼から仕事面では心配の声を掛けてもらったことはない。同い年だけど年下のよう。
ニューヨークとの時差はサマータイムで13時間。
午後4時と深夜3時。シウも私も互いのチャットルームを開いたままで送るなり既読になる。
寝ていいからと言っても昼寝したから眠くないと返される。
私が眠れずに掲示板サイトを見たこともあって、私を心配しているのだろう。
掲示板を見たあと、1番先に開いたのはシウとのトーク画面だった。
私よりも今日の公演に対する不安は強いデヒョンに、「コラボで炎上しないか心配で掲示板見ちゃった」なんて言えるはずもなかった。
シウはすぐさま【電話する?】と返信をくれた。
電話で彼の声を聞いたら話したいことが途端に頭にたくさん浮かんで、あと10分したら電話を切ろう、の繰り返しで真っ暗闇の部屋が徐々に明けていく様子を見送った。
繋いだままで準備も済ませて玄関で靴を履きながら電話越しの彼に「気を付けていっておいで」と送り出された。
通話を終了して“通話時間 8時間”の表示を見て、なんともいえない気持ちになった。
送迎車内でもここに到着してからも彼氏からのカトクは未読のまま。
幼馴染みとは延々と話を続けている自分を「シウは私のことをもう好きじゃないから」と正当化する。
ただの幼馴染みだから8時間電話してても甘い雰囲気にはならないし、前の私たちとは違う。
私もシウも、成長したんだから。
メイク直しや衣装チェンジも済ませ、待機室で誰かと話すともなくポツンと1人。
スタッフや現場マネージャーがいそいそと出入りして、放置されているが居心地が良い。
1人でいる方が気楽だから。たまに寂しくてグループの人たちが羨ましくなるときもあるが、先のコラボステージにエネルギーを使うから今はボーッとしていたい。
スタッフはアーティストよりも忙しそう。こんな日ばかりは演者より裏方の給与を上げたらいいのに。
待機室の大きな白いテーブルに突っ伏したまま、ひたすら携帯をいじる。
シウが私の暇潰し相手になってくれている。
電話で話したあの日から始まり途切れることなく続いているチャット。
シウは私のどんな話も聞いてくれる。
彼氏と違って気を遣う必要も、かわいらしさを演じる必要もない。私の仕事に関する不安や愚痴も、一般人の彼には遠慮なく言える。
彼には一生縁のないうちの会社のことを、少々悪く言っても笑って受け止めてくれる。口が悪くなっちゃっても「こら~」と優しくいうだけ。
反対に、彼氏には自分の弱音は言えない。完全に私が聞き役、彼をなだめる立場で、彼から仕事面では心配の声を掛けてもらったことはない。同い年だけど年下のよう。
ニューヨークとの時差はサマータイムで13時間。
午後4時と深夜3時。シウも私も互いのチャットルームを開いたままで送るなり既読になる。
寝ていいからと言っても昼寝したから眠くないと返される。
私が眠れずに掲示板サイトを見たこともあって、私を心配しているのだろう。
掲示板を見たあと、1番先に開いたのはシウとのトーク画面だった。
私よりも今日の公演に対する不安は強いデヒョンに、「コラボで炎上しないか心配で掲示板見ちゃった」なんて言えるはずもなかった。
シウはすぐさま【電話する?】と返信をくれた。
電話で彼の声を聞いたら話したいことが途端に頭にたくさん浮かんで、あと10分したら電話を切ろう、の繰り返しで真っ暗闇の部屋が徐々に明けていく様子を見送った。
繋いだままで準備も済ませて玄関で靴を履きながら電話越しの彼に「気を付けていっておいで」と送り出された。
通話を終了して“通話時間 8時間”の表示を見て、なんともいえない気持ちになった。
送迎車内でもここに到着してからも彼氏からのカトクは未読のまま。
幼馴染みとは延々と話を続けている自分を「シウは私のことをもう好きじゃないから」と正当化する。
ただの幼馴染みだから8時間電話してても甘い雰囲気にはならないし、前の私たちとは違う。
私もシウも、成長したんだから。