Too late
「ずっと空腹だと頭痛くなったりしません?」
「あぁ、そうだっけ」
不調にも鈍感らしい。
今はまだ若いからいいけど、衰えを感じていないのだろうか。
まだ20になったばかりの私でさえ中学生の頃よりは体力が衰えているのを実感する。
あと10年後、今の先生と同じ年になったときに私ならここまで体の酷使はできそうにない。
「責めてご飯は食べないと、ダメですよ」
「人とご飯行ったらちゃんと食べるんだけどね、この頃忙しくてヒチョルヒョンたちにも会えてないから」
先生がいつも会っている面子を思い浮かべる。
顔と共に、お酒の瓶に囲まれて大声でどんちゃん騒ぎしているような情景もついてくる。
「結局お酒呑んじゃうでしょ」
「うん、そうだね」
「お酒を呑まないご飯友達を作るといいですよ」
「呑まない人かー......いないよ、俺のまわりは」
「それに、どうせならその日に声掛けて集合できるような、フットワーク軽い人がいいと思う」
「ますますおらんわ。俺自体はフッ軽だけど」
頭の中で知人リストを洗い直す。
先生に合いそうな人はおろか、お酒を呑まない人があまり出てこない。
んーっと熟考している声が聞こえてくる。
新しく女性と出会ってみるのはどうか。
そしたら仕事とも距離をとれそう。
提案しようと息を吸った瞬間、彼が何かを見つけたらしく「あっ」と発した。
「ユリは?」
「えっ」
まさかこっちに話がくると思ってもみなかった。
「嫌ならいいけど」
「いや、別に嫌じゃないですよ。けど、私でいいんですか?」
「うん。ユリには気遣わないし、ユリも俺に気って遣ってないよな?」
確認なのか「もっと気を遣え」の意なのか分からない。
「あぁ、遣って......ないこともないですよ? 一応プロデューサーですし、お年も上なので」
急に丁寧になった私に先生が小さなため息をついた。
「もう気なんて遣うなよ。敬語じゃなくてもいいくらいだよ」
ショックを受けたみたいな反応。
10才も上の人にさすがにタメ口は使えない。
先生って結構フランクな人なんだ。
「ああ、別に全然気は遣ってないです」
「だろ? あっ、でも、俺は誰もいないけど......ユリは大丈夫なの?」
オブラートに包みすぎて何のことかさっぱり。
「はい?」
「彼氏とか......」
呆れた。デヒョンと別れてそう経っていない私がもう新たな男性を見つけていると思われていることに愕然とする。
「私そんな誰とでも簡単に付き合う人じゃないです」
「いや、そういうことじゃなくて、確認しといた方がいいから」
鋭くなった声色。彼はやけに焦って訂正した。
「私そういえばフッ軽ではないです」
「たしかに。まあ全然遠慮せず断ってもいいから」
「これで私が断り続けたら先生どうしま......きゃっ!」
急に感知した人の気配に肩をびくりとさせて即座に振り替える。
チョルスがバスルームに向かおうとしていた。
邪魔をしないよう足音を最小限にしていたらしく、少し腰をかがめている。
私と目が合うと、口パクと身ぶり手振りで”気にしないで続けて”と伝えてきた。
「びっくりした......」
「ごめんごめん」
屈めた背筋もすっと伸ばして笑いながら謝ると、スリッパの音をたてながらバスルームに入って行った。
窓に顔を向け、夜空を見ながら話していたから全く気づかなかった。
「ユリ? どうした?」
携帯から私を呼び戻した声。
「あ、なんでもないです」
もしかして、今チョルスの声が入ったかもしれない。
「今友達と会ってて!」
「そっか......」
私なにを焦っているんだろう。
「あぁ、そうだっけ」
不調にも鈍感らしい。
今はまだ若いからいいけど、衰えを感じていないのだろうか。
まだ20になったばかりの私でさえ中学生の頃よりは体力が衰えているのを実感する。
あと10年後、今の先生と同じ年になったときに私ならここまで体の酷使はできそうにない。
「責めてご飯は食べないと、ダメですよ」
「人とご飯行ったらちゃんと食べるんだけどね、この頃忙しくてヒチョルヒョンたちにも会えてないから」
先生がいつも会っている面子を思い浮かべる。
顔と共に、お酒の瓶に囲まれて大声でどんちゃん騒ぎしているような情景もついてくる。
「結局お酒呑んじゃうでしょ」
「うん、そうだね」
「お酒を呑まないご飯友達を作るといいですよ」
「呑まない人かー......いないよ、俺のまわりは」
「それに、どうせならその日に声掛けて集合できるような、フットワーク軽い人がいいと思う」
「ますますおらんわ。俺自体はフッ軽だけど」
頭の中で知人リストを洗い直す。
先生に合いそうな人はおろか、お酒を呑まない人があまり出てこない。
んーっと熟考している声が聞こえてくる。
新しく女性と出会ってみるのはどうか。
そしたら仕事とも距離をとれそう。
提案しようと息を吸った瞬間、彼が何かを見つけたらしく「あっ」と発した。
「ユリは?」
「えっ」
まさかこっちに話がくると思ってもみなかった。
「嫌ならいいけど」
「いや、別に嫌じゃないですよ。けど、私でいいんですか?」
「うん。ユリには気遣わないし、ユリも俺に気って遣ってないよな?」
確認なのか「もっと気を遣え」の意なのか分からない。
「あぁ、遣って......ないこともないですよ? 一応プロデューサーですし、お年も上なので」
急に丁寧になった私に先生が小さなため息をついた。
「もう気なんて遣うなよ。敬語じゃなくてもいいくらいだよ」
ショックを受けたみたいな反応。
10才も上の人にさすがにタメ口は使えない。
先生って結構フランクな人なんだ。
「ああ、別に全然気は遣ってないです」
「だろ? あっ、でも、俺は誰もいないけど......ユリは大丈夫なの?」
オブラートに包みすぎて何のことかさっぱり。
「はい?」
「彼氏とか......」
呆れた。デヒョンと別れてそう経っていない私がもう新たな男性を見つけていると思われていることに愕然とする。
「私そんな誰とでも簡単に付き合う人じゃないです」
「いや、そういうことじゃなくて、確認しといた方がいいから」
鋭くなった声色。彼はやけに焦って訂正した。
「私そういえばフッ軽ではないです」
「たしかに。まあ全然遠慮せず断ってもいいから」
「これで私が断り続けたら先生どうしま......きゃっ!」
急に感知した人の気配に肩をびくりとさせて即座に振り替える。
チョルスがバスルームに向かおうとしていた。
邪魔をしないよう足音を最小限にしていたらしく、少し腰をかがめている。
私と目が合うと、口パクと身ぶり手振りで”気にしないで続けて”と伝えてきた。
「びっくりした......」
「ごめんごめん」
屈めた背筋もすっと伸ばして笑いながら謝ると、スリッパの音をたてながらバスルームに入って行った。
窓に顔を向け、夜空を見ながら話していたから全く気づかなかった。
「ユリ? どうした?」
携帯から私を呼び戻した声。
「あ、なんでもないです」
もしかして、今チョルスの声が入ったかもしれない。
「今友達と会ってて!」
「そっか......」
私なにを焦っているんだろう。