Too late
韓国の音楽番組では基本的に事前収録したものを放送時間に流して、司会進行や1位発表の部分だけが生放送。
番組開始直後にジョンヒョンオッパが隣の楽屋に戻ってきた。
番組の30分を越した頃に、インタビューがありそのままステージへと続く予定。
彼が衣装に着替えてメイク直しをしている間にも番組は進む。
スタッフに呼ばれて楽屋から出ると隣にもスタッフが声をかけていた。
オッパはギリギリ準備が間に合ったといった様子でベルトを締めながら楽屋から出てきた。
「大丈夫ですか?」
「うん、ごめんねバタバタしちゃって」
スタジオまで移動するわずかな時間。
疲れている彼に自分から話しかけるのは控えよう。
「いや、私は何の問題もないですよ」
特にこれといったコミュニケーションもないまま、インタビュー撮影が始まる。
ほんの1分弱だけど、これが生放送で一緒に映るのは初めてだから1人の時とは違う緊張がある。
司会の人と軽くリハーサルを済ませて生放送のインタビューは始まった。
「コラボソングで話題のこのおふたりに来ていただきました~」
「皆さんこんにちは、ユリです」
「こんにちは、ジョンヒョンで~す」
「今回一緒に歌われている“夏の足音”はどういった曲ですか?」
こちらを見ながら話を振る司会者。
私は緊張のあまり、彼女がカメラに向き直ってもその後頭部を凝視していた。
危ない。
目線を彼女からカメラに移す。
「“夏の足音”という曲は淡い初恋を描いたピュアなラブソングになっています」
「見所はどこでしょうか?」
「個人的にはジョンヒョンさんの優しい歌声がファンの方々の心を溶かすんじゃないかと思います」
頭の中で用意していた売り文句。
司会者がおお~と言いながら音を小さく拍手している。
私の隣ではオッパが素の照れ笑いを見せた。
その反応に思わず私も素の笑い声をあげた。
「ではジョンヒョンさんはどうですか?」
「僕はー、やっぱりユリさんの新たな一面を見れるのがこの曲の良いところだと思います」
オッパ、そんなことを考えてたんだ。
「ユリさんの新たな一面、私も楽しみにしていま~す。このおふたりのステージはCMのあとで!」
私たちを映すカメラのランプが消える。
無事にインタビューが終わった。
ステージ裏まで移動する。
「助かった~! さすが先輩。俺ああいうとき盛り上げるの得意じゃないから、ありがとう」
私のさっきの言葉に場を盛り上げるほどのパンチはない。
彼は、いつもは他のメンバーに頼りっきりだからさ、と加える。
端から見たら彼はグループのムードメーカー。
底抜けに明るい。
インタビューなんて軽くやってのけそうだ。
きっと、緊張している私を安心させようと気遣ってくれている。
彼の優しさを受け取った。
「こっちこそ、笑ってくれたから緊張が解けましたよ」
「いやぁ、なんか照れちゃった」
素直に打ち明ける姿も、お茶目。
女性アイドルとして見習いたい。
「オッパはたぶん女の子でもアイドルやってましたね」
「なにそれ~誉めてくれてんの?」
「もちろん」
談笑をしながら舞台裏に待機して、数時間前に撮ったステージをモニターで見る。
私たちの曲は1位候補に上がっている。
私たちのあと、一番最後のステージを披露するのがもう1組の一位候補。
人気上昇中のガールズグループで先週から1位をとっている。
私たちの出番が終わって彼女たちのステージが流れ始めると、出演者全員が舞台に上がる。
曲の終わりを待ちながら、ステージを魅入る。
ファンの掛け声が熱狂的。
曲調、振り付け、どちらも一度見聞きすると記憶に残るキャッチーな魅力がある。
一糸乱れぬ群舞をみせる彼女たちに感心する。
これは勝ってこない......
1位発表の進行が始まる。
司会をセンターに、1位候補の2組は左右に並ぶ。
音源成績、MV視聴数、ファン投票、放送中の視聴者投票、それらを点数制にして競う。音楽番組よって配分はことなるが今日出演している番組ではファン投票数の比重が大きい。
数字が項目別に発表されていくのをじっと手を握りしめて見守る。
カウントアップで続々と表示される採点数。
総合結果が出る頃には相手方に拍手を送る準備をしていた。
番組開始直後にジョンヒョンオッパが隣の楽屋に戻ってきた。
番組の30分を越した頃に、インタビューがありそのままステージへと続く予定。
彼が衣装に着替えてメイク直しをしている間にも番組は進む。
スタッフに呼ばれて楽屋から出ると隣にもスタッフが声をかけていた。
オッパはギリギリ準備が間に合ったといった様子でベルトを締めながら楽屋から出てきた。
「大丈夫ですか?」
「うん、ごめんねバタバタしちゃって」
スタジオまで移動するわずかな時間。
疲れている彼に自分から話しかけるのは控えよう。
「いや、私は何の問題もないですよ」
特にこれといったコミュニケーションもないまま、インタビュー撮影が始まる。
ほんの1分弱だけど、これが生放送で一緒に映るのは初めてだから1人の時とは違う緊張がある。
司会の人と軽くリハーサルを済ませて生放送のインタビューは始まった。
「コラボソングで話題のこのおふたりに来ていただきました~」
「皆さんこんにちは、ユリです」
「こんにちは、ジョンヒョンで~す」
「今回一緒に歌われている“夏の足音”はどういった曲ですか?」
こちらを見ながら話を振る司会者。
私は緊張のあまり、彼女がカメラに向き直ってもその後頭部を凝視していた。
危ない。
目線を彼女からカメラに移す。
「“夏の足音”という曲は淡い初恋を描いたピュアなラブソングになっています」
「見所はどこでしょうか?」
「個人的にはジョンヒョンさんの優しい歌声がファンの方々の心を溶かすんじゃないかと思います」
頭の中で用意していた売り文句。
司会者がおお~と言いながら音を小さく拍手している。
私の隣ではオッパが素の照れ笑いを見せた。
その反応に思わず私も素の笑い声をあげた。
「ではジョンヒョンさんはどうですか?」
「僕はー、やっぱりユリさんの新たな一面を見れるのがこの曲の良いところだと思います」
オッパ、そんなことを考えてたんだ。
「ユリさんの新たな一面、私も楽しみにしていま~す。このおふたりのステージはCMのあとで!」
私たちを映すカメラのランプが消える。
無事にインタビューが終わった。
ステージ裏まで移動する。
「助かった~! さすが先輩。俺ああいうとき盛り上げるの得意じゃないから、ありがとう」
私のさっきの言葉に場を盛り上げるほどのパンチはない。
彼は、いつもは他のメンバーに頼りっきりだからさ、と加える。
端から見たら彼はグループのムードメーカー。
底抜けに明るい。
インタビューなんて軽くやってのけそうだ。
きっと、緊張している私を安心させようと気遣ってくれている。
彼の優しさを受け取った。
「こっちこそ、笑ってくれたから緊張が解けましたよ」
「いやぁ、なんか照れちゃった」
素直に打ち明ける姿も、お茶目。
女性アイドルとして見習いたい。
「オッパはたぶん女の子でもアイドルやってましたね」
「なにそれ~誉めてくれてんの?」
「もちろん」
談笑をしながら舞台裏に待機して、数時間前に撮ったステージをモニターで見る。
私たちの曲は1位候補に上がっている。
私たちのあと、一番最後のステージを披露するのがもう1組の一位候補。
人気上昇中のガールズグループで先週から1位をとっている。
私たちの出番が終わって彼女たちのステージが流れ始めると、出演者全員が舞台に上がる。
曲の終わりを待ちながら、ステージを魅入る。
ファンの掛け声が熱狂的。
曲調、振り付け、どちらも一度見聞きすると記憶に残るキャッチーな魅力がある。
一糸乱れぬ群舞をみせる彼女たちに感心する。
これは勝ってこない......
1位発表の進行が始まる。
司会をセンターに、1位候補の2組は左右に並ぶ。
音源成績、MV視聴数、ファン投票、放送中の視聴者投票、それらを点数制にして競う。音楽番組よって配分はことなるが今日出演している番組ではファン投票数の比重が大きい。
数字が項目別に発表されていくのをじっと手を握りしめて見守る。
カウントアップで続々と表示される採点数。
総合結果が出る頃には相手方に拍手を送る準備をしていた。