Too late
罪滅ぼし
1週間の活動は最終日に音楽番組での6冠を達成し、幕を閉じた。
日を追うごとに自信がついて自分でも納得のいくステージを披露できるようになったばかりで、これで活動を終えるのは名残惜しくもあった。
この成績に、事務所は新たな曲で今度は長期に渡る活動計画を考え始めているようだ。
ジョンヒョンオッパのグループと私で、配属された制作チームが違うため、それぞれのチーム長が会議を重ねていると、マネージャーから聞いた。
私は出来ればまた、今回みたいな雰囲気の曲がいい。
新しい自分の姿に慣れてきて、最初からこうだったんじゃないかと思うほどに今ではしっくりくる。
この活動を機に、個人スケジュールの際もメイクやヘア、衣装、どれもがフェミニンなものに変わり、定着してきた。
それにより男性ファンが増えた。
長年連れ添ったファンも、私の急な変化を見守って、今回のカムバックの成功を喜ぶ声が多くてホッとしている。
たしかに新規ファンを獲得するのが大事なのかもしれないけど、はじめてのサイン会からずっと来てくれているファンはかけがえのない存在。
コンセプトの大柄な変更に、彼女たちが離れていってしまうんじゃないかと不安もあった。
もちろん離れる人はいる。
「男に媚びないところが好きだった」、「結局お前も男好きか」、「ジョンヒョンとお幸せに」。
ファンからのそういう意見もある。
弁明したって全員の誤解を解くのは無理。
自分に言い聞かせて、心の傷は放置する。
耐えるしかない。
何か反応をすることで別の論争が起きるから、ひたすらに時間の経過を待つのが何よりも最適解。
それとは別に、彼の熱狂的なファンが私のアンチに成り変わる。
あらゆることに難癖をつけられる。
一番堪えるのは、彼のグループの輝かしい業績と比較される私のこれまでの中途半端な成績。
数字が並んだ画像コラージュがネットに流れているのを発見した。
彼らに比べて何十分の一でしかない自分、もちろんグループとソロの差があるとはいえ未だ中堅な現実を突きつけられる。
傷つく覚悟を持ってしても、ちゃんと傷ついた。
彼のファンの人たちにとって、私って憎い存在みたい。
ステージに立っていてもカメラがまわり始める前なんて、酷い有り様だ。
イヤーモニターで聞こえていないフリをする。
きっと、自分のファンが同僚を苦しめている姿にジョンヒョンオッパも傷ついているから。
日々カカオトークで会話している友人にもその弱音は吐き出せない。
達成感の裏には大きなストレスがあって、活動最終日の夜、家でひとりになると泣いた。
本当なら活動終了後は打ち上げをするのが定番。
しかし、ジョンヒョンオッパがその日のうちにはワールドツアーで海外に飛んだため持ち越された。
オッパはきっとストレスを感じる暇さえないんだろうな。
こんな風に弱っている時点で、私もまだまだだ。
もっと無理しないと、私以外もみんな無理してるんだから。
1枚の写真を日記帳のうしろから取り出す。
活動日初日の晩に、1位を獲って感動に浸っているさなか、思い出ボックスから選んだそれ。
心の中で、写真の中の初恋に語りかける。
ソヌ。
私、やっと人気が出てきたんだ。
見てくれてたらいいな。
私の顔なんてもう見るのも嫌だろうけど、それでも今、私がアイドルを頑張ってることを知ってほしい。
辛くても、続けるよ。
いや、辛いからこそ続けたい。
この苦痛にも耐えることこそが、何よりもあなたへの想いの証明になるから。
日を追うごとに自信がついて自分でも納得のいくステージを披露できるようになったばかりで、これで活動を終えるのは名残惜しくもあった。
この成績に、事務所は新たな曲で今度は長期に渡る活動計画を考え始めているようだ。
ジョンヒョンオッパのグループと私で、配属された制作チームが違うため、それぞれのチーム長が会議を重ねていると、マネージャーから聞いた。
私は出来ればまた、今回みたいな雰囲気の曲がいい。
新しい自分の姿に慣れてきて、最初からこうだったんじゃないかと思うほどに今ではしっくりくる。
この活動を機に、個人スケジュールの際もメイクやヘア、衣装、どれもがフェミニンなものに変わり、定着してきた。
それにより男性ファンが増えた。
長年連れ添ったファンも、私の急な変化を見守って、今回のカムバックの成功を喜ぶ声が多くてホッとしている。
たしかに新規ファンを獲得するのが大事なのかもしれないけど、はじめてのサイン会からずっと来てくれているファンはかけがえのない存在。
コンセプトの大柄な変更に、彼女たちが離れていってしまうんじゃないかと不安もあった。
もちろん離れる人はいる。
「男に媚びないところが好きだった」、「結局お前も男好きか」、「ジョンヒョンとお幸せに」。
ファンからのそういう意見もある。
弁明したって全員の誤解を解くのは無理。
自分に言い聞かせて、心の傷は放置する。
耐えるしかない。
何か反応をすることで別の論争が起きるから、ひたすらに時間の経過を待つのが何よりも最適解。
それとは別に、彼の熱狂的なファンが私のアンチに成り変わる。
あらゆることに難癖をつけられる。
一番堪えるのは、彼のグループの輝かしい業績と比較される私のこれまでの中途半端な成績。
数字が並んだ画像コラージュがネットに流れているのを発見した。
彼らに比べて何十分の一でしかない自分、もちろんグループとソロの差があるとはいえ未だ中堅な現実を突きつけられる。
傷つく覚悟を持ってしても、ちゃんと傷ついた。
彼のファンの人たちにとって、私って憎い存在みたい。
ステージに立っていてもカメラがまわり始める前なんて、酷い有り様だ。
イヤーモニターで聞こえていないフリをする。
きっと、自分のファンが同僚を苦しめている姿にジョンヒョンオッパも傷ついているから。
日々カカオトークで会話している友人にもその弱音は吐き出せない。
達成感の裏には大きなストレスがあって、活動最終日の夜、家でひとりになると泣いた。
本当なら活動終了後は打ち上げをするのが定番。
しかし、ジョンヒョンオッパがその日のうちにはワールドツアーで海外に飛んだため持ち越された。
オッパはきっとストレスを感じる暇さえないんだろうな。
こんな風に弱っている時点で、私もまだまだだ。
もっと無理しないと、私以外もみんな無理してるんだから。
1枚の写真を日記帳のうしろから取り出す。
活動日初日の晩に、1位を獲って感動に浸っているさなか、思い出ボックスから選んだそれ。
心の中で、写真の中の初恋に語りかける。
ソヌ。
私、やっと人気が出てきたんだ。
見てくれてたらいいな。
私の顔なんてもう見るのも嫌だろうけど、それでも今、私がアイドルを頑張ってることを知ってほしい。
辛くても、続けるよ。
いや、辛いからこそ続けたい。
この苦痛にも耐えることこそが、何よりもあなたへの想いの証明になるから。