推しと恋しちゃだめですか？

「あ、これお菓子！土戸くん好きでしょ？」
「うわぁっ、ありがとう！」

抱きしめられながらお礼される。
「そういえばすみれ、クラス何組なの？」
「えっと…、先生から教えてもらったけど、確か、2組だったかな？」
「……うわぁっ、同じ〜！すみれと一緒でとっても嬉しいよ！俺！」

土戸くんも同じ！？
安心した……。
「そういえばすみれ、俺、スター・ボーイのNo.1になったよ！」

ギクッ。
スター・ボーイの話はなるべく避けたい。
だって、友達が推しじゃないなんて、いえないじゃん…！！
しかも私が推してるのNo.2の佐木くんだし！
だから私は、スター・ボーイはあんまり知らないって突き通している。

もっ、もちろん、本当は大好きなんだけどねっ！
スター・ボーイ全員！！「う、うん！よかったね…！！」
なんて、曖昧な返事しかできない。
そういえば…！
「私、お隣さんにも挨拶しないといけないんだった！！」
「え！？まだ遊ぼうよ〜」

でも、もう時間ないし……。
「ご、ごめん！また話そう？」
「わかった、次はじっくり話そうね！」


そう言って、私は土戸くんの部屋を出ていった。