演劇部の宇良先輩がやたらとぐいぐいくるのですが?

第1話 普通の学園生活が希望なのに……



 うわ~、緊張するぅ~~ッ。
 4月、高校の門をくぐった私は今日から高校生。
 地元の高校には行かず、電車で30分かかる離れた高校に進学した。

 理由はこの高校に演劇部があるため。
 小さい頃、両親と一緒に劇を見て感動したのがきっかけ。
 真っ暗な舞台にひと筋差す光の輪。
 いつか私もあの光の差す白い輪の中に入ってみたくなった。

 放課後、いよいよ演劇部のドアをノックする。
 あれ、返事がないし、誰も出て来ない?
 
 おそるおそる横開きのドアを開く。すると私の想像の斜め上をさらに超えて、想像力の限界を突破した。

 女子ばっかり……。

 演劇部って女子のみとチラシに書いてあったっけ?
 思わず、朝、校門で配られた手元のチラシをみるが、そういったことは書かれていない。

 見た感じ、この場にいる大多数の女子は私と同じ一年。
 いったいなにが起きているの?

 混乱したまま、入部届けを受付している女子を見つけ、たくさんの女子の中をもみくちゃにされながら、前へと進む。だけど、もう少しというところで、足元がなにかに引っかかった。

「あっ」

 小さな声が出てしまい、やけにスローモーションに周りが映る。
 目の隅に大きな影が入ると、背中に手が回った。
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