演劇部の宇良先輩がやたらとぐいぐいくるのですが?

第4話 そういうのは無しにしようよ?


 入学して一ヶ月が過ぎ、暦の上ではゴールデンウィークに突入した。
 相変わらず同級生の子たちからみえないところで嫌がらせを受けているが、上級生たちは気づいてないみたい。

 あと、あの可愛い系男子、都成《となり》先輩が演劇部に所属していることには驚いた。
 かなり気分屋さんで、一週間に一回くらいしか顔を出さず、演劇の知識がない名ばかりの顧問の先生よりも姿をみせないのに2年や3年の女子の先輩からすごく可愛がられている。
 あと宇良先輩と仲がいい。演劇部は男子はこのふたりしかおらず、3年は女子5人、2年の女子も5人、そして1年は一ヶ月で6人まで減っていた。
 
 その日、2年生と3年生が、勉強のために演劇鑑賞で不在、私たち1年だけ居残りで発声練習をしていたが。

「もっと声のトーンを下げなよ、その声、気持ち悪いんだけど?」
「ゴメンなさい」

 私は小さい頃から地声が高い。そのせいで小学校低学年ぐらいから同級生の男の子たちにバカにされたのがきっかけで、人前ではあまり声を出さなくなった。
 たまたまトイレの個室にいた時に彼女たちがトイレに入ってきた。そこで聞きたくもない言葉を聞いてしまう。「咲来のヤツ、キャラ作ってんじゃねーよ」、「そんなに宇良先輩に構ってもらいたいのかよ、あの根暗」などと誹謗中傷で盛り上がっているのを耳にして怖くなった。

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