芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
プロローグ
「ねぇ、萌果ちゃん。俺も男だってこと、ちゃんと分かってる?」
「え?」
開いたカーテンから、オレンジ色の光が射し込む部屋。
唇が触れ合いそうな至近距離で、妖艶な笑みを浮かべているひとりの男子。
私の幼なじみで、今をときめく超人気モデルの久住 藍。
私は今、幼なじみの藍の部屋のベッド上で彼に抱きしめられている。
「もしかして、俺に襲って欲しくてここに来たの?」
「ひゃっ……」
背中に回されていた手がそっと腰へ下りていき、思わず声が漏れる。
「ふふ、可愛い声だね。もっと聞かせてよ」
今、目の前にいるのは……一体だれ?
藍は私にとっては、ずっと弟みたいな存在で。
昔は泣き虫で、いつも私のあとをついてきて。
決して、こんなことを言ったりする子じゃなかったのに……!
ことの始まりは、今から1ヶ月ほど前に遡る。
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