芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「おはよう、萌果ちゃん」


眠たげな顔でこちらを見て、ふにゃりと笑う藍。


「お、おはよう……」


状況をまだ理解できないながらも、とりあえず挨拶だけは返す。


「ふふ。萌果ちゃん、朝から可愛い」


甘く微笑んだ藍が距離を詰めて、滑らかな指先で私の頬をつうっと撫でる。


不意打ちのスキンシップに、鼓動が大きな音を立てた。


「ねえ。おはようのキスして?」

「キ、キスって……朝から何を言ってるの!? そんなのするわけないでしょっ!」

「ちぇーっ。萌果ちゃんのケチ〜!」


藍が、頬をぷくっと膨らませる。


「拗ねてもダメだから! それより、なんで藍がこの部屋にいるの?」

「なんでって、もしかして忘れたの? 昨日、萌果ちゃんが『今夜は、ずっとそばにいて?』って、俺に言ってきたんじゃない」


え!?

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