芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「あの……私、久住くんのことが好きです」

「悪いけど、俺は君のこと好きじゃない」


藍に冷たく言われ、目を潤ませる女の子。


「どうしても、私じゃダメですか?」

「うん。どうしてもダメ」


藍は、無表情で言い放つ。


「うわあ。久住くん、あんな可愛い子を振るなんて。相変わらずだね」

「う、うん」


藍、告白断ったんだ。良かった……。


って、何を安心してるの私!


あの子は藍に振られたんだから、ちっとも良くないのに。


良かったって思うとか、いくら何でも失礼すぎる。


「なになに? めっちゃ真剣な顔で、人の告白現場なんか見ちゃってー」

「ひっ」


後ろから突然だれかに腰に手を添えられ、背筋に冷たいものが走った。


私に、こんなことをする人は……。


「梶間さんって、意外と悪趣味なんだね?」


振り返ってみると、背後に立っていたのは予想通り陣内くん。


「ち、違……」

「あんな食い入るように見るなんて。もしかして、梶間さんって……久住藍のことが好きなの?」

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