芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


陣内くんに尋ねられ、私の心臓が跳ねる。


「や、やだなあ。私はただ、かっこいいなと思って久住くんを見てただけで……別に好きとかじゃないから」


慌てて否定する。


「そうなの? この前、彼氏はいないって言ってたけど。それじゃあ梶間さん、今は特に好きな人とかもいないんだ?」

「う、うん。いないよ」


好きな人がいないっていうのは、本当。


何も、嘘をついてることはないのに。


どうして、こんな後ろめたさを感じるんだろう。


「好きな人がいないのなら、良かった。もしも梶間さんに、あーんなイケメンモデルが好きだなんて言われたら、俺に勝ち目なんてないもん」


陣内くんが藍のほうを見たので、私もそちらに目をやると。


中庭のほうにいる藍が、真顔でこちらを見ていた。


うそ。藍ったら、いつの間にこっちを見てたの?


もしかして、今の話聞いて……?

< 106 / 163 >

この作品をシェア

pagetop