芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
そして放課後。
帰りのホームルームが終わると、私は数学の先生に言われていた補習を受けるため、指定された教室に向かった。
──コンコン。
「失礼します」
ノックをして教室に入ると、そこにはなんと数学の先生の他に藍もいた。
「えっと。あの、先生……どうして藍……久住くんがここに?」
「決まってるだろう。久住も梶間と同じ、補習だよ」
いや、それはもちろん分かっているのですが。
普段、普通科の生徒と芸能科の生徒が、こうして授業や補習が一緒になることはほぼないって柚子ちゃんから聞いていたから……ちょっとびっくり。
「まあ、今回は補習になった者が学年で君たち二人だけだったから。特別に一緒というわけだ」
「特別に……ですか」
「ああ。梶間も早く座りなさい。授業を始めるぞ」
「はい」
先生に言われて、私は藍の隣の席に腰をおろす。
まさか、藍と一緒に補習授業を受けることになるなんて……。
チラッと藍のほう見ると、ちょうど視線が交わりドキリとする。
「ふふ。萌果ちゃんと、こうして教室で一緒に授業を受けるなんて。小学生以来だよね?」
小声で話す藍に、私もこっそり頷く。
確かに。懐かしいかも。
藍と、久しぶりにクラスメイトにでもなったみたい。