芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
「であるから……」
それからしばらく、先生の説明を聞きながら静かに補習授業を受けていると。
──ガラガラ。
「すいません。佐藤先生、会議が予定よりも早く始まるみたいで……」
「なに!?」
補習の授業の途中で数学の佐藤先生が、他の先生に呼ばれた。
「すまん。先生は、これから職員会議があるから。君たちは、最後にそのプリントを解いてくれ。終わったら、帰って良いから」
先生が慌ただしく出ていき、教室には私と藍のふたりだけになる。
「……ていうか、萌果ちゃんって補習になるくらいバカだったっけ?」
ふたりきりになった途端、藍が話しかけてきた。
ていうか、開口一番に人のことをバカって!
「す、数学は特別苦手で……って。いま補習になってるんだから、藍も一緒じゃない!」
「俺はこの間、撮影で沖縄に行くときに学校を早退してテストを受けられなかったから。その代わりに、補習になっただけ。萌果と一緒にしないでよ」
ムッ。まるで、バカな萌果と自分は違うって言われたみたいでカチンと来た。
「萌果ちゃん、昔は俺によく勉強も教えてくれてたのになぁ」
「そ、そんなことより! プリント、早く解こうよ」
私はシャーペンを手に、藍より先に問題を解き始めたものの……。
「……できた」
「えっ、もう!?」
私が応用問題を解くのに苦労しているうちに、藍はプリントを早々と終えてしまった。