芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
「何かちょうだいって、何がいいの? お菓子?」
「お菓子って、子どもじゃないんだから。そうだなぁ……ハグとか?」
ハッ、ハグ!?
「む、無理だよ!」
「なんで? 萌果ちゃん、昼休みに陣内ともハグしてたじゃない」
「あ、あれは……陣内くんが、一方的に私の肩を抱いてきて……」
「だとしても、萌果ちゃんがアイツに触られて。見てて、めちゃくちゃムカついた。萌果ちゃんが嫌がってるのに、あの場ですぐに助けられない自分にも、腹立たしかった」
藍……。
「ごめんね?」
藍は何も悪くないのに。どうして藍が謝るの?
「あのときは、周りに人もいたから。私がこっちに向かって来ようとする藍を、来ないように制したのもあったし……気にしないで?」
「ううん。元はと言えば、俺がモデルじゃなかったら、いちいち人目も気にしなくて良いんだよ。本当は萌果と一緒に登下校だってしたいし、学校でも普通に話したい。俺が、芸能人じゃなければ……っ!」
私は椅子から立ち上がると、藍を思いきりギュッと抱きしめた。
「……なこと言わないで」
「萌果?」
「芸能人じゃなかったら……とか、そんなこと言わないで」