芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


藍の話を聞いていたら、なぜか無性に抱きしめたくなってしまった。


「私は福岡に住んでた頃、藍がモデルとして頑張っているのを見て、自分も頑張ろうって思ってた。離れてても藍が活躍してると思うと嬉しかったし、雑誌の藍の笑顔を見てると元気をもらえた」


月並みなことしか言えないけど、本当にそうだったから。


「福岡の学校でも藍のファンの子は、沢山いたんだよ? 友達で、“今日は藍くんの雑誌の発売日だから、学校頑張ろう”って言ってる子もいたし」


こんなこと、藍には初めて話したけど。

話しだしたら、言葉が次から次へと溢れて止まらない。


「藍には多くのファンの子たちがいて、藍の存在がその子たちのことを笑顔にしてる。それって、すごいことだよ。きっと、誰にでもできることじゃない」

「萌果ちゃん……」

「私も中学生の頃からずっと、モデル・久住藍のファンのひとりだから。もちろん、幼なじみの藍のことも好きだけどね」

「……ありがとう」


藍が私の背中に腕をまわし、抱きしめ返してくれる。

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