芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「うん……いいよ。私も藍と出かけたい」

「やった。嬉しいなぁ」


急に大人びた顔をするなと思ったけど、笑顔はまだあどけなくて可愛い。


藍が喜んでくれると、私も嬉しい。


最近は、そんなふうに思う自分がいる。


藍にはずっと、笑顔でいて欲しい。


胸に芽生えかけた、小さな灯。


それに、私はまだ気づいていない。


──カシャッ、カシャッ。


「……ムカつく」


そしてこのとき、私が藍と教室でふたりでいるところを、向かいの校舎の窓から誰かに見られて盗撮されていたってことにも……。


私は、気づいていなかった──。

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