芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
「どうしてって、ムカつくからだよ」
「え?」
「俺が梶間さんを抱き寄せたときは、あんなに嫌がったくせに。久住とは、こんな嬉しそうに抱き合って……っ!」
陣内くんがスマホを思いきり机に叩きつけ、肩がビクッと跳ねた。
こ、怖いよ陣内くん……。
「親睦会のカラオケのとき、俺の前で梶間さんのことを連れ去ったのも、久住なんでしょう? 女嫌いで有名な久住と、こんなに仲良くしちゃって。君たち、やっぱり付き合ってんの?」
「ち、違う。藍は、私の幼なじみで……」
陣内くんの顔が、こちらにグイッと近づく。
「なあ、梶間さん……この写真、学校のみんなに拡散されたら困るよな?」
どこから出してるんだって思うくらい、普段よりも低い声にゾクリとする。
「じ、陣内くん。もしかして私のこと、脅してる?」
「はははっ。脅しだなんて、そんな人聞きの悪いこと言わないでよ〜」
何がおかしいのか、陣内くんは思いきり手を叩いて大声で笑い出す。
そのせいで、教室にいる複数のクラスメイトが、一斉にこちらを振り向いてしまった。
「ちょっと。陣内くん、声が大きいっ!」
「俺は別に、この話がみんなに聞こえても問題ないけどー?」
ギリッと、奥歯を噛む。
「陣内くん……こんなことをして、一体何が目的なの?」