芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「……って、やだ。私ったら、今何を思った?!」


屋上の隅でうずくまり、ずっと俯いていた顔をガバッと勢いよく上げる。


そして、パチパチと瞬きを何度も繰り返す。


藍と付き合いたい……だなんて。


ああ……私ったら、いつからそんなことを思うようになっていたんだろう。


藍は、昔から可愛い弟のような存在で。


藍のことが大切で大好きなのは、ずっと家族愛みたいなものなんだって思っていたけど。


知らず知らずのうちに、藍に家族や幼なじみ以上の感情を抱くようになっていたなんて……!


「私……藍のことが好きなんだ」


まさかこんな形で、自分の気持ちに気づくなんて。


恋を自覚した瞬間、ぶわっと顔が急激に熱くなった。


小学生の頃、一度振ってしまった藍のことを好きになってしまったなんて、自分でもびっくりだよ……。


──バンッ!!


私が自分の想いを自覚したそのとき、勢いよく屋上の扉が開き、飛び出すように誰かが現れた。

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