芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
私がヒヤヒヤしていると。
「ねぇ。あの男の子、すごいイケメンじゃない?」
「本当だ。モデルさんかな?」
そんな声が聞こえてきて、とりあえずバレてなさそうだとホッとする。
「ねえ、藍。今日はどこに行くの?」
「着くまで、ナイショ」
それからしばらく歩き続け、藍が連れてきてくれたのは映画館だった。
「映画のチケットは、もう先に買ってあるんだ」
「そうなの!? ありがとう」
藍、用意がいいなぁ。
「ちなみに、何の映画を観るの?」
「これなんだけど……」
藍が見せてくれたチケットに書かれたタイトルを見て、ハッとする。
うそ。これ、前に私がテレビのCMで見て面白そうって話していた、少女漫画が原作の恋愛映画だ。
「萌果ちゃん、この映画観たいって言ってたでしょう?」
まさか、藍が覚えてくれていたなんて……。
じんわりと、胸の奥のほうが温かくなった。
それから、売店で飲み物とポップコーンを購入。
「足元、気をつけて。俺たちの席は……ここだな」