芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
藍と一緒に劇場内の予約してくれた席へと向かうと、そこはカップル用のペアシートだった。
寝転べそうなほど広いソファには、ふかふかのクッションとミニテーブルが置かれていて、簡易的な個室のようだ。
ここは少し高い仕切りで仕切られているからか、他の観客も見えなくて。まるで、藍とふたりきりのような感じ。
なるほど。映画が始まれば、辺りは暗くなるし。
ここなら、芸能人の藍と一緒でも周りを気にせずに楽しめそう。
私は、藍と並んでソファ席に座った。
ていうかこの席……カップル用の席で肘掛けがないからか、隣との距離がかなり近い。
藍と、肩が今にも触れ合いそう。
そうこうしているうちに映画館の照明が落ち、映画が始まった。
私は、ポップコーンを食べようと手を伸ばす。
すると藍も同時に取ろうとしたらしく、指と指が触れてしまった。
「あっ。ご、ごめ……っ!」
私が触れた指を引っ込めようとすると、藍にその手を取られてしまった。
藍は指先を1本1本絡め、恋人繋ぎをしてくる。
「ちょ、ちょっと藍……手!」