芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
「らっ、藍! 目が覚めたの!?」
「うん。実は、少し前から目が覚めてたんだけど、気づかないフリしてた」
「え、どうしてそんなこと……」
「ずっと離れて暮らしてた萌果ちゃんが、俺のそばにいるなんて夢みたいで。嬉しかったから」
藍……。
「久しぶりだね、萌果ちゃん」
私を見てニコッと微笑んでくれるその顔は、小学生の頃の面影があるけれど。
数年ぶりに聞いた声は、声変わりを経てずいぶん低くなっている。
「ほんと、久しぶ……っ!?」
『久しぶり』と、私が最後までちゃんと言えなかったのは、言葉の途中で藍が私の唇を塞いだから。
「ちょ、ちょっと藍! 今……」
「うん。萌果ちゃんとの再会を記念してのキスだよ」
「へ!?」
悪気のない様子で、ペロッと舌なめずりする藍。
「さ、再会のキスって……何それ!」
かああっと、顔全体が熱を持った。
ていうか、今のが私のファーストキスだったのに!
「なに? その反応……もしかして、今のが初めてだった?」