芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
藍とふたりで、事務所から歩いて向かった場所。
それは、街を一望できる見晴らしのいい小高い丘の上だった。
「うわぁ」
目の前にはキラキラと無数の光が広がり、夜空には満天の星が散りばめられている。
「すごい! きれい〜!」
丘の上からの美しい光景に、私は感嘆の声をもらす。
「こんな場所があったんだね」
「うん。事務所に入って間もない頃、先輩が穴場だって教えてくれてさ」
確かに。ここには今、私たち以外誰もいない。
「3年前に初めてここに来たとき、美しい夜景に感動して。いつか絶対に、萌果と一緒に来たいって思ってたんだよね」
月明かりに照らされた藍の前髪が、夜風でさらりと揺れる。
「そうだったんだ。連れて来てくれて、ありがとう」
藍に頭を預けて寄りかかると、優しく手を握られた。