芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


それはベルベットの小箱で、パカッと開かれた小箱の中にはシルバーの指輪が。


「えっ、うそ……」

「今日、ここで渡そうと思って。用意してたんだよ」

「そうなの!?」


思わぬサプライズに、目頭が熱くなる。


「これはまだ仮だけど。いつか、俺たちが結婚したら……萌果の存在を世間に公表して、本物の指輪をプレゼントするから。それまで待ってて?」

「……っ、はい」


藍が、私の薬指に指輪をはめてくれる。


結婚って……嬉しいな。藍は、私との将来をそこまで考えてくれてるんだ。


指輪をした手のひらを広げて、夜空へと掲げてみせる。


シルバーのリングには、藍色の石がついていた。


藍色は、藍の名前と同じ漢字の色だから。


まるで、藍がそばにいてくれてるみたいに思えて、嬉しくなった。


「ありがとう。大切にするね」


ずっと幼なじみで、弟のように思っていた藍が、いつしか自分にとってかけがえのない人になっていた。


藍は私にとって、これからもずっと大切で大好きな人。


「それじゃあ、帰ろうか……俺たちの家に」


目の前に差し出された、大きな手。


その手をとると、私たちはふたり並んで星空の下を歩き出した。


END.

< 162 / 163 >

この作品をシェア

pagetop