芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
それはベルベットの小箱で、パカッと開かれた小箱の中にはシルバーの指輪が。
「えっ、うそ……」
「今日、ここで渡そうと思って。用意してたんだよ」
「そうなの!?」
思わぬサプライズに、目頭が熱くなる。
「これはまだ仮だけど。いつか、俺たちが結婚したら……萌果の存在を世間に公表して、本物の指輪をプレゼントするから。それまで待ってて?」
「……っ、はい」
藍が、私の薬指に指輪をはめてくれる。
結婚って……嬉しいな。藍は、私との将来をそこまで考えてくれてるんだ。
指輪をした手のひらを広げて、夜空へと掲げてみせる。
シルバーのリングには、藍色の石がついていた。
藍色は、藍の名前と同じ漢字の色だから。
まるで、藍がそばにいてくれてるみたいに思えて、嬉しくなった。
「ありがとう。大切にするね」
ずっと幼なじみで、弟のように思っていた藍が、いつしか自分にとってかけがえのない人になっていた。
藍は私にとって、これからもずっと大切で大好きな人。
「それじゃあ、帰ろうか……俺たちの家に」
目の前に差し出された、大きな手。
その手をとると、私たちはふたり並んで星空の下を歩き出した。
END.