芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
2. 藍の好きな子
藍の部屋を飛び出した私は、階段を急いで駆け下りる。
ああ、どうしよう。
慣れないキスをされて防衛反応みたいなものが出たのか、藍のことを殴ってしまった。
藍のあまりの変わり様に動揺したとはいえ、いくら何でも殴るなんて……。
でも、好きでもない私にあんなに何回もキスするなんて藍もひどいよ……!
「あら、萌果ちゃん。藍は起きた?」
プンプンしながら私がダイニングに行くと、橙子さんが声をかけてくる。
「起きましたけど、あんな子は知りませんっ!」
「……あんな子って。俺のことをそんな言い方するなんて、ひどいなぁ」
「きゃっ!」
人の気配がすると思ったら、いつの間にか藍が私のすぐ後ろに立っていた。