芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
「はいはい。藍も萌果ちゃんに会えたのが嬉しいからって、いつまでもバカなことやってないで」
橙子さんが、パンパンと手を叩く。
「早くお夕飯にしましょう。せっかくのお料理が冷めちゃうわ。ほら、藍。あんたも早く手を洗ってきなさい」
「はーい」
橙子さんに言われ、藍が渋々といった様子で私から離れる。
ふぅ。橙子さんのお陰で助かった……。
それから、藍と橙子さんと3人で食卓を囲む。
テーブルには、ご飯と味噌汁。デミグラスソースのハンバーグに、サラダが並ぶ。
私は藍と向かい合って座り、私の隣には橙子さんが座っている。
ああ。味噌汁が体にしみ渡るなぁ。
豆腐とワカメの味噌汁を飲んで、私はほうっと息をつく。
「橙子さんの手料理、どれも美味しいです」
「そう? 喜んでもらえて嬉しいわ」
雑談をしながら橙子さんの手料理に舌鼓を打っていると、しばらくして家のインターフォンが鳴った。
「はい?」
「すいません、久住さん宛にお荷物が届いてます」
来たのはどうやら宅配のようで、橙子さんが玄関に向かったため、ダイニングには私と藍のふたりきりになる。