芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「ねぇ、萌果ちゃん」

「なっ、なに?」


橙子さんがいなくなった途端、藍が話しかけてきた。


さっきあんなことがあったからか、藍に声をかけられただけで変に身構えてしまう。


「あのさ、ずっと気になってたんだけど。口の端のところに、ソースがついてるよ」

「えっ!?」


やだ。口にソースがついてるなんて、恥ずかしい。


「ど、どこ?」

「左のほう」


藍が、自分の左唇の端を指でちょんとさす。


私は自分の手でソースを取ろうとするも、なかなか取れない。

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