芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「はい、とれたよ」


藍に言われて目を開けると、藍がべっと舌を出している。


「えっ、藍……もしかして今、唇を舐めたの?」

「うん」

「……っ!!」


予想外のことに、私は顔から火が出そうになる。


てっきり指で取ってくれるのかと思っていたら、まさか舐められるなんて!


うう、こんなことされたら心臓に悪いよ……。


「み、右についてるのなら、最初から素直にそう言ってくれれば良いのに!」

「嘘ついてごめんね? 萌果ちゃんがあまりにも可愛くて、つい意地悪しちゃった」


意地悪って……。


藍は人から意地悪されることがあっても、自分からはそんなことする子じゃなかったのに。


「もう! さっきのキスといい意地悪といい、誰にでもそんなことしてたら、嫌われちゃうよ!?」

「……しないよ」

「え?」

「いくら俺でもこんなこと、好きな子にしかしない」

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