芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
す、好きな子って……。
至近距離で藍と視線がぶつかって、心臓がどくんと大きく音を立てる。
「俺は、今も萌果のことが好きだから」
うそ。藍が、今でも私のことを好き!?
さっき橙子さんが、藍は小学生の頃の失恋からはもう吹っ切れたって話していたのに。
「じょ、冗談だよね? さっきみたいに意地悪をして、また私を困らせようとしてるだけだよね!?」
「ううん、違う。俺は小学生の頃に萌果に振られてからもずっと、萌果のことが忘れられなかった。振られても、嫌いになんてなれなかった。俺は今でも大好きなんだよ、萌果のことが……!」
こちらを見る藍の目は、いたって真剣で。とても嘘をついているようには見えなかった。
「あの頃は、萌果に弟としか思えないって言われたけど……」
藍は私の頬にそっと指先を滑らせ、優しく包み込む。
「今はもう、あの頃の泣き虫な俺じゃない。弟としてではなく、これからはひとりの男として、萌果には俺のことを見て欲しい」