芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
「ねえ、萌果ちゃん。早くやってくれないと、学校に遅れちゃうよ」
藍が、私の顔の横に手をつく。
「高校2年生の初日から、遅刻してもいいの?」
「それは……ダメ」
「だったら、結んで?」
それから私は藍の顔の近さにドキドキしながら、ネクタイをどうにか結んだ。
「ありがとう。萌果ちゃんは昔から器用だから、ネクタイを結ぶのも上手だね」
「そっ、そう?」
少し意地悪もされたけど、人間褒められるとやっぱり嬉しいもんだな。
「ということで、明日からもよろしく」
よろしくって……まさか、これから毎朝藍のネクタイを結ばなきゃいけないの!?
「それと、俺の職業柄、念のために萌果ちゃんがウチで同居してることは、学校では秘密ってことにしてね」
藍が唇に人差し指を当て、パチッと片目を閉じる。
……確かに。今女子高生の間で、藍の人気は凄いらしいから。もし同居がバレたりしたら、大変だよね。
変な噂がたって、藍の人気が下がるのも良くないだろうし。
「分かった。ここで暮らしてることは、秘密にする。絶対に誰にも言わない」
「ありがとう」