芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「ねえ、萌果ちゃん。早くやってくれないと、学校に遅れちゃうよ」


藍が、私の顔の横に手をつく。


「高校2年生の初日から、遅刻してもいいの?」

「それは……ダメ」

「だったら、結んで?」


それから私は藍の顔の近さにドキドキしながら、ネクタイをどうにか結んだ。


「ありがとう。萌果ちゃんは昔から器用だから、ネクタイを結ぶのも上手だね」

「そっ、そう?」


少し意地悪もされたけど、人間褒められるとやっぱり嬉しいもんだな。


「ということで、明日からもよろしく」


よろしくって……まさか、これから毎朝藍のネクタイを結ばなきゃいけないの!?


「それと、俺の職業柄、念のために萌果ちゃんがウチで同居してることは、学校では秘密ってことにしてね」


藍が唇に人差し指を当て、パチッと片目を閉じる。


……確かに。今女子高生の間で、藍の人気は凄いらしいから。もし同居がバレたりしたら、大変だよね。


変な噂がたって、藍の人気が下がるのも良くないだろうし。


「分かった。ここで暮らしてることは、秘密にする。絶対に誰にも言わない」

「ありがとう」

< 31 / 163 >

この作品をシェア

pagetop