芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています

4. ミッション



1週間後の朝。


「あれ?」


私が身支度を終えてダイニングへ行くと、いつもいるはずの藍の姿がそこにはなかった。


「あの、橙子さん。藍は?」

「あの子なら、今日は日直だからって、さっき慌てて家を出て行ったわ」


藍、今日は日直なんだ。朝ご飯、一緒に食べられないんだな。


席に着き、私はトーストをかじる。


「萌果ちゃん。お弁当、キッチンのカウンターに置いてあるからね」

「ありがとうございます。私の分まで作ってもらっちゃって、すみません」

「いいのよ。藍の分を作るついでだから。気にしないで」

「ありがとうございます……あれ?」


橙子さんにもう一度お礼を言って、キッチンのカウンターに目をやると。


青いバンダナで包まれたお弁当……先に家を出た藍のお弁当が、なぜかそのまま残っていた。


代わりにピンクのバンダナのお弁当がないってことは、藍が間違えて私のお弁当を持って行っちゃったんだ!


「あら。あの子ったら、お弁当を取り違えちゃったのね。もう〜!」


橙子さんが、プリプリしている。


急いでいたからってお弁当を間違えるなんて、昔からちょっと抜けてる藍らしいな。


「ねえ、萌果ちゃん。悪いんだけど、藍にこのお弁当を届けてくれない?」

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