芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
「……はぁ。どうしたものか」
今は、3限目の授業後の休み時間。
私はタイミングが掴めず、まだ藍にお弁当を渡せていない。
授業が終わって休み時間になるたびに、私は藍のお弁当を手に、芸能科のクラスまで足を運ぶのだけど。
「久住くーん」
芸能科の教室の前は、いつ来ても沢山の女の子でごった返している。
「藍くん、こっち向いてぇ」
「……」
扉近くのファンの子に声をかけられるも、日直で黒板を消している藍はガン無視。
学校で、藍と同居していることは秘密だし。
こんなにも多くのファンの子たちがいる前で、藍に声をかけて渡すのは不可能。
【藍、今朝私のお弁当と間違えて持っていったみたいだよ?
橙子さんに藍のお弁当を渡して欲しいって頼まれたんだけど、どこかで会えない?】
……と、藍にスマホでメッセージを送ったものの、見ていないのか既読がつかない。
お昼休みまでは、残り1時間。
どうしたらいいんだろう。