芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
キーンコーン……。
お弁当を渡せないまま、ついに4限目が終わってしまった。
ああ……同じ学校にいるのに、相手が芸能人っていうだけでこんなに苦労するなんて。
「萌果ちゃん、お昼食べよ〜」
いつものように隣の席の柚子ちゃんが、私の机に自分の机をくっつけてくる。
やっぱり、もう一度藍のクラスまで行ってみようかな。
「柚子ちゃん、私……」
私が席から立ち上がったとき。
「キャーーッ!!」
教室の扉のほうから突然、女の子の黄色い歓声が聞こえた。
反射的に声がしたほうに目をやると、いつの間にか教室の扉の前には人だかりができていて。
その人だかりのなかから、顔を覗かせたのは……。
「うそ。あれって、久住くん?!」
なんと、私のお弁当を掲げた藍だった。