芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


柚子ちゃんを含めたクラスの男女何人かで、駅前のカラオケにやって来た。


「それじゃあ、俺から歌いまーす!」


教室で私に最初に声をかけてくれた畑野くんが、一番に曲を入れて歌い始める。


彼が歌うのは、カラオケの定番のアップテンポな曲。


カラオケって久しぶりに来たけど、人が歌うのをただ聴いているだけでも楽しいよね。


「よっしゃ! やったぞー!」


歌が上手い畑野くんは見事、96点を叩き出したらしく、ガッツポーズしている。


わあ。畑野くん、すごい……!


「次は、わたしの番ね!」


隣に座る柚子ちゃんが、マイクを手にする。


柚子ちゃんが歌うのは、彼女が小学生の頃から好きな女性アーティストの曲。


柚子ちゃん、今もまだあのアーティスト好きだったんだ。


私が柚子ちゃんの歌声を聴きながら、オレンジジュースを啜っていると。


「梶間さん、楽しんでる?」


空いていた私の隣に、ひとりの男子が座った。

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