芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
無造作にセットされた、金色の髪。ヘーゼル色の目をした、二重のハーフ顔。
ネクタイはゆるく結ばれており、ブレザーのボタンは全開。
顔はいいけど、見るからにチャラそうなこの人は……。
「えっと……」
誰だっけ?
「あれ? もしかして、俺の名前まだ覚えてない?」
「す、すみません」
「俺の名前は、陣内 理仁。よろしくね」
ニカッと笑い、陣内くんが私に手を差し出してくる。
この手はひょっとして、握手しろってことかな?
「よ、よろしくお願いします」
私が陣内くんの手を取ると、彼は自分の指を1本1本絡めてくる。
「……っ!」
陣内くんに恋人繋ぎされた私の背には、ゾワッと悪寒が走る。
「梶間さんって、可愛いよね。彼氏とかいるの?」
陣内くんは手を繋いだまま、ニヤニヤしながら顔をこちらに近づけてきた。
何なの、この人。ほぼ初対面でいきなり恋人繋ぎなんかして、顔を近づけてきて……。
いくらクラスメイトだからって、馴れ馴れしい。
「わ、私、飲み物入れてきます」
陣内くんに繋がれた手を力いっぱい振りほどくと、私は慌ててカラオケルームを出た。