芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「そうだ。さっきの非礼のお詫びに、その髪飾りは俺がつけてあげるよ」

「え? いや、私自分でつけられるから」

「いいのいいの。遠慮しないで」


私が持っていた星の髪飾りを、陣内くんに取られてしまった。


「さあさあ、梶間さん前向いて!」


陣内くんに両肩を掴まれ、私は半ば強引にくるっと前を向かされた。


そして、私の髪に陣内くんの手が触れ、すうっと指で髪の毛を梳かれる。


「梶間さんの髪ってきれいだね~。めっちゃサラサラじゃん」


ちょっ、触られるなんて嫌だ。


ただ、髪飾りをつけるだけなのに。わざわざ髪の毛を、手櫛でとく必要ある!?


陣内くん。さっきは落とし物を届けてくれて、少しは良いところもあるのかもって思ったのに。


やっぱりこの人のことは、苦手かもしれない。


私がこの場から逃げ出したいと思い、目をきつく瞑ったそのとき……。


突然、腕をガシッと誰かに掴まれた。

< 56 / 163 >

この作品をシェア

pagetop