芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
「はぁ……萌果ちゃん、探したよ。ここにいたんだ」
私の左腕を掴み、私たちの間に入ってきたのは……藍だった。
えっ、どうして藍がここに!?
高校の制服姿の藍は、前髪が少し乱れていて。変装のつもりなのかメガネをかけ、マスクもしている。
メガネにマスク姿でも、藍の周りは何だかキラキラと輝いて見える。さすが芸能人。
「何なんだよ、あんた。急に割り込んできて。邪魔すんなよ」
「は? お前こそ誰なんだよ?」
藍が陣内くんを、鋭い目で睨んだ。
こんなにも凄んだ藍を見たのは、初めてかもしれない。
「萌果、嫌がってるだろ?! 汚い手で気安く触んなよ」
藍の剣幕に驚いたのか、陣内くんは黙って目を繰り返しパチパチとさせるだけ。
「つーか、それ早く返してくれない? 彼女の髪飾りは、俺がつけるから。ほら萌果ちゃん、帰るよ」
「ちょっと、ら……っ!」
藍は陣内くんから髪飾りを受け取ると、私の腕を掴んだまま早足で歩き出した。