芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「な、何言ってるの!? ち、違うから! たぶん、蚊に刺されちゃったんだと思う」

「へー。蚊って、4月の今でも飛んでたかなー?」


……う。


こんなふうにいちいち詮索してくるなんて、陣内くんほんと何なの?!


「まあ、いいや。梶間さん、彼氏いないって言ってたし」


陣内くんが私から離れて、ホッとしたのもつかの間。


「ねえ。彼氏がいないのなら俺、これから梶間さんにアタックしても良いよね?」


陣内に、ウインクされる。


「あ、あたっく?!」

「そう。俺、梶間さんのことがますます気に入っちゃったから……いいよね?」

「……う」


私に彼氏がいないのは、本当だし。


陣内くんは、これから学校生活を1年間共にするクラスメイトだから……変にダメだなんて言えないよ。


「それじゃあ、そういうことで」


陣内くんは言いたいことを言うだけ言うと、さっさと男友達のところへ行ってしまう。


「はぁ……」


これからのことを思うと、憂鬱な気持ちになって。私の口からは、ため息がこぼれた。

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