芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
「しー……大きい声出さないで」
藍は立てた人差し指を、自分の唇に当てた。
そして、小声で話し始める。
「急にごめん。萌果ちゃんと、話がしたくて。でも、学校で人前で話しかけるのはダメでしょ?」
そっか。だから藍は、私をこんなところに……。
「あはは。でさー」
廊下から複数の声と足音が聞こえ、私たちは慌ててしゃがみこむ。
二人で壁際にくっつくようにして、体を縮こめる。
「ねぇ、萌果ちゃん。最近、この前のカラオケのときの男と仲良くない?」
「そ、そう?」
まさか、最近学校で陣内くんに話しかけられてるところ、藍にも見られていたなんて。
「陣内くんは、ただのクラスメイトだよ?」
「ほんとに?」
私の首元に、藍の人差し指が触れた。
ツーッ──……
上から下、下から上へと、藍が指先を滑らせる。
「ひゃっ……」
くすぐったさに、私は思わず身をよじらせてしまう。
「ここ、前につけた痕。薄くなってきてるね。もう一度、ここに印をつけさせて?」
え!?
「な、なんで!?」
「俺がいない間、萌果に悪い虫がついて欲しくないから」
「俺がいない間って……藍、どこかに行くの?」