芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


「……話って何ですか?」


そして俺は今、共演したモデルの女の子と向かい合って立っている。

CMで共演したと言っても、清涼飲料水のペットボトルを彼女に渡してもらうだけだったが。


「あ、あの……」


俺の目の前で、顔を真っ赤に染めた女の子の名前は、AINA(アイナ)


最近、可愛いと人気急上昇中の同世代のファッションモデル。


「あっ、あの、わたし……藍さんのことが好きなんです!」

「……無理」


迷わず、即答する俺。


芸能界デビューしてから、学校や仕事でほぼ毎日のように誰かに告白されるけど。

誰からの告白も、俺がOKすることは絶対にない。


「悪いけど俺、AINAさんとは付き合えないです」

「どうして!?」

「……事務所から、恋愛は禁止だと言われているので」


キッパリと言い切ると、俺はスタスタと歩いていく。


恋愛禁止だなんて、もちろん口から出まかせ。


仕事関係の人からの告白を断ってもなるべく角が立たないようにするための、断り文句みたいなものだ。


本当の理由は、俺にはずっと好きな人がいるから。

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