芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています


もしかしたら、萌果にもう二度と会えなくなるかもしれない。

そう思った俺は、彼女にこれまで積もりに積もった想いを伝えることにした。


そして小学5年生の3月。


『あのね、実は僕……萌果ちゃんのことが、ずっと好きだったんだ』


震える声で何とか萌果に告白するも、彼女の答えはNO。


俺は、見事に振られてしまった。


『藍は家族っていうか、弟みたいに思ってたから。藍のことを、そんなふうに見たことがなかったの。だから、ごめんね』と。


ショックだった。萌果とは同い年なのに、弟にしか見られていなかったなんて。


萌果は『藍のことを、そんなふうに見たことがなかった』と言っていたから。


萌果に弟としてではなく、一人の男として見てもらえるようになったら、もしかしたら俺にもまだチャンスがあるのでは?


そう思った俺は、それ以来勉強も運動も人一倍頑張った。


少しでも強くなろうと、母さんに頼んで近所の空手教室にも通わせてもらった。


筋トレだって毎日やって、身だしなみも整えようとオシャレの研究もした。


もし次に萌果と再会できたときは、弟ではなくちゃんと異性として見てもらえるように。


そして、俺のことを好きになってもらって、告白のリベンジをするために。


その日をひたすら夢見て、自分にできることは何だってやった。

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