芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています
ああ……萌果の声を聞いたら、余計に会いたくなってしまった。
しかも『寝る前に、藍の声が聞けて良かった』って、めちゃくちゃ嬉しいこと言ってくれてたし……やっばい。
俺は、口元を手で覆う。
一刻も早く東京に帰って、萌果に会いたい。
会って、真っ先に萌果をハグしたい。
萌果を俺の腕のなかに閉じ込めて、誰にも渡したくない。もちろん、陣内ってヤツにも……。
俺は、拳をギュッと握りしめる。
陣内……最近、学校でやたらと萌果に付きまとってるのを見かけるけど。
明らか、萌果に気があるよな。
俺が芸能科のせいで、今年も来年も萌果と同じクラスになれないのが辛い。
萌果は可愛いから、陣内が口説きたくなるのも分からなくはないけど。
昔から萌果の魅力を知っていて、彼女のことがずっと好きな俺だからこそ、他の男の動向には特に敏感になる。
陣内、要注意人物だな。
俺も幼なじみだからって、萌果と同居してるからって、のんびりしていられない。
萌果に好きになってもらえるよう、もっと頑張らないといけないと、改めて気合いが入った夜だった。